【学習センター機関誌から】武術太極拳と学びで大きく自己成長したい。だから私は放送大学を選んだ

磯野 水響

放送大学千葉学習センター

今回は、2023年に入学した全科履修生の磯野水響さんをインタビュー。幼少期から続ける武術太極拳では強化指定選手として活躍するなか、以前から興味のあった心理学を学ぶために放送大学へ。磯野さんの経歴や放送大学に入学してからこれまで、今後の展望についてじっくりと話を伺った。

学びながら武術太極拳をさらに極めるために放送大学へ編入

高校を卒業した磯野さんは別の大学へと進学するが、2年生の後期になると大学に通えない時期があった。武術太極拳の練習も思うようにできないなか、自問する日々が続いたという。「あの頃は『自分はこれから何をしたいのだろう』と毎日のように考えていました。でも真っ先に出てきた答えが『自分から武術太極拳を取ったら何も残らない』だったのです。それまでの人生のほとんどを武術に費やしてきましたからね、武術だけは絶対に続けようと心に決めました」。
武術太極拳を継続するにあたり、磯野さんは大学との向き合い方も見直した。「大学をやめ、働きながら武術を続けるという選択肢はありませんでした。10代の頃から心理学に興味があり、一度じっくり学んでみたいという願望があったんです。武術と勉強を両立させるには通信制大学という選択肢もありかなって思うようになり」。通信制大学についてネットで情報収集するうち、放送大学の存在を知った。放送大学では国内外の大学や短期大学、高専、専門学校などに在籍卒業した人を対象に、編入学制度を設けている(※2)。
「名前は知っていましたけど、どんな大学なのかはまったく知らなくて。調べてみると、私の場合は2年次から編入学することが可能で、しかも心理学を専門に学べるコースがあります。千葉学習センターがある幕張駅までは最寄り駅から15分ほどですから面接授業や図書館を利用するにも便利です。いろんな好条件が重なって放送大学へ入ることにしました」。

大学生活、競技、そしてアルバイト。充実した毎日を送る

心理学を学びたいという思いを胸に、磯野さんは2023年から放送大学の学生となった。
「正直いうと勉強はあまり得意なほうじゃないんです苦笑。ですが昔から興味のあることはとことん知りたいという性格なので、放送大学で心理学をじっくり勉強してみようと。そんな気持ちで授業を受けています」。実際に放送大学で学ぶようになり、気付いたことがいくつもあるという。「私のような20代のいわゆる大学生世代より、私の両親や祖父母くらいの年代の方が多いのにびっくりしました。それと、普通の大学では就職や大学院進学がゴールですが、放送大学にはそのような雰囲気はありません。ひと言でいえば『興味のある学問を自分のペースでとことん学ぶ』みたいな、楽しみながら学んでいる方が多いと感じました」。
磯野さん自身も「好きな心理学を学びながら競技者としてさらに大きく成長する」という目標を掲げ、日中は心理学を学びながら夜は武術太極拳という文武両道の日々を過ごしている。
「大会前になると練習は毎日ありますし、時には強化合宿もあります。前学期は6月の『アジア大学武術選手権大会』、7月の『全日本武術太極拳選手権大会』と大きな大会が続いたので忙しかったですね。なので、前期は登録科目の数を抑え、その分後期はめいっぱい登録するといった感じで、無理なく大学生活と武術太極拳を両立させています。大会のない時期はアルバイトもしています笑)」。

学ぶことの楽しさを知り、自分の将来にも役立てられると実感

「放送大学に入って1年半が経ちましたが、今はとっても毎日が充実しています。」と笑顔で話す磯野さん。最近になり、放送大学で得た知識は競技者としてのキャリア形成に活かせていると実感するようになった。
「少しでも興味を持った授業は登録することにしていて、前学期は『運動と睡眠』をとりました。いずれは指導者になりたいので、コーチングや選手とのコミュニケーションを円滑にするための知識を今のうちから学んでおきたいと思っています」。
放送大学と出合い、学ぶことの楽しさを知った磯野さんの現在の目標は、日本代表に選ばれることだ。
「ジュニアや大学生での国際大会にも出場してきましたが、目標はやっぱり様々な国際大会の日本代表に選ばれることです。今年の全日本選手権大会ではひとつの種目でミスをしてしまったのがとても悔しくて。来年は絶対に日本代表になります!」。
最後に、放送大学への入学を考えている読者に向け、磯野さんからメッセージをもらった。「放送大学をひと言で表すなら、自己成長と自己実現の場だと思います。私の場合は競技と学びの両立ができていますし、多くの学生さんは仕事や育児をやりながら自分のペースで知識を深められる、そんな魅力にあふれた大学です。ここで学んだことはきっと実生活で存分に活かせることでしょう」。


※1:日本武術太極拳連盟ホームページより
※2:在籍年数などにより編入学の条件は異なる(https://www.ouj.ac.jp/admission/gakubu/credits/

<プロフィール>
磯野 水響/いその ひびき
武術太極拳と学びを両立させるため放送大学へ編入学。「2024年アジア大学武術選手権大会」では自選太極剣部門で銀メダルを獲得するなど、今後の活躍が期待される。
千葉太極武術院所属


千葉学習センター機関誌「ちばがくプレス」第1号(2024年10月発行)より掲載

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