【学習センター機関誌から】一から全へ

群馬学習センター
名誉学生 小林 洋一

2022(令和4)年9月、放送大学全科履修生「情報コース」を卒業いたしました。これにより、名誉学生の称号を授与され、大変光栄に存じ、心より御礼申し上げます。
ふり返りますと、1995年の10月が始まりでしたので、足かけ27年間となりました。

その間、放送大学院修士課程の2年間と、若干の休学期間がございました。
90年代、私は、医学部卒業後、研修医の勤務を終了したものの、「この先、いかに生きるべきか」に、かなり深刻に悩んでおりました。もちろんそこには、「医師として、何をすべきか、何ができるのか」という問いも多く含まれていました。

そのような時、当時、TVのUHFで、無料放送されていた「放送大学」を知りました。TVで、歴史の講義を見て、その面白さにひかれ、書店で、パンフレットや教科書を探しました。ネットは、まだ、全く身近にない時代です。
はじめ、どの講義を選択しようか、一瞬迷いましたが、すぐに「哲学」「歴史」「心理学」に決め、科目履修生としてスタートしました。

どの講義も、わかりやすく、ポイントを押さえ、45分で簡略にまとまっており、大変驚くと同時に、非常に学びやすかったです。
中でも、ラジオの、渡邊二郎教授の「哲学」シリーズの講義には、深く感動いたしました。上記した、「いかに生きるべきか」に、ストレートに答えを示していただけた気がしました。
「心理学」シリーズも、大変参考になりました。医学部を出ていながら、ろくに心理学は学んでおらず、恥ずかしながら、非常に役立ちました。

数年後、ある程度取得単位が溜まったところで、卒業を目指し、一念発起して、全科履修生として、「人間の探求」専攻から、入学いたしました。
その「専攻」を卒業後、「心理と教育」コースに再入学し、卒業いたしました。そのように、一つ一つ「単位」を増やし、一つ一つ「卒業」を増やしていきました。

今、50代半ば、恥ずかしながらも、医師として、患者様を診察し、少しは世の中のお役に立てているのかな、と思えております。
それも、放送大学が、医学部教育に欠けている、「人間」としての「基本」「基礎」を教えてくださったお陰と思っております。

また、私が抱いていた、「いかに生きるか?」「よき社会人とは?」といった疑問に、ヒントを提示してくれたからだと思います。まさに、私の人格形成の「基礎」となり、人間陶冶に、大変役立ちました。

この、放送大学との出会い、学んだ27年間は、非常に幸福で、貴重な時代となり、私の人生にとって、欠くべからざる「時間」であったことは、断言できます。心より感謝申し上げます。

今後、人生に、生き方に迷う人にそのヒントを提示し、また社会人として(スペシャリストが求められる時代ですが)、ジェネラリストも育ててくれる、放送大学であり続けていただきたいと、願っております。
放送大学の発展と、在校生および関係者皆様の幸福を、心よりお祈り申し上げます。
本当にありがとうございました。


群馬学習センター機関誌「上州」第85号(令和5年1月)より

公開日 2023-02-17  最終更新日 2023-02-17

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