【学習センター機関誌から】所長を 6 年やって思うこと -卒業研究取組みの勧め-

 大阪学習センター所長 西田 正吾

本当に早いもので、大阪学習センターに来て 6 年になります。私は、国立大学で 20 年間教育・研究に携わってきて、卒業研究についても 100人を越える学生の方を指導しましたが、放送大学に来てからも、毎年、卒業研究の申請前には、学生の皆様からの卒業研究申請に関するご相談に乗らせていただいております。

放送大学では、直接、卒業研究を指導することはありませんでしたが、多くの学生の方々が卒業研究に取り組む姿を見てきました。苦労をしながら、卒業研究申請書を書き上げ、卒業研究に取り組むことになっても、多くの困難が存在しますが、それを乗り越えて最終的に卒論を書き上げた達成感や喜びは本当に大きいようで、ほとんどの方が、「卒業研究に取り組んで本当に良かった」「今までの受け身の授業ではなく、自分でテーマを考え、自分で取り組んでいく楽しさが初めてわかった」という感想を持たれたようでした。


実際に私が知っている例でも、卒研の最中にお子さんを出産されたのですが、頑張って論文を書き上げ、本部での最終審査には生まれたばかりの赤ちゃんとご主人と 3 人で出席された方や、80 歳を超えていたが、毎月千葉にいるお孫さんの顔を見るのも兼ねて、卒研ゼミに参加し卒業論文を書き上げた方などがおられ、お二人とも「放送大学で卒業研究をやって本当に良かった」と感動しておられたのが強く印象に残っています。また、卒業研究に取り組んだ後、「これから大学院に行って、さらに高度な研究に取り組んでみたい」という気持ちになり、実際、大学院に進学された方も多数おられます。

しかし、一方では、放送大学では、卒業研究は必修科目ではなく、さらに申請の年から数えると最低でも2年間かかるので、その分卒業が遅れることになるため、卒業研究に取り組むということは簡単なことではなく、また研究を行うということがどういうことなのか想像がつかない方も多く、なかなか卒業研究申請に踏み切れないという方も大勢おられたようでした。

このような姿を見て、私も、是非多くの方に卒業研究に取り組んでいただきたいという気持ちになっていたのですが、たまたま、大阪学友・同窓会のある方から、卒業研究に大勢の方に取り組んでもらうために勉強会をやりませんかというお申し出を受けて意気投合し、4年前から大阪学友・同窓会のご支援の下で「卒研チャレンジ勉強会」を続けさせていただいております。



卒業研究については、毎年6月に本部のアレンジで卒研ガイダンスを開催しており、ガイダンスは卒研の仕組みの説明が主となるのですが、この「卒研チャレンジ勉強会」では、今までに卒業研究に取り組んだ方に、どうしてそのテーマを取り上げたかや、どのあたりで苦労したか、それを克服するのにどうしたか等をお話していただき、また、これから卒業研究を目指す方にその場でアドバイスしていただこうというものです。

この結果、2019 年度には、大阪学習センターからの卒研申請数が 32 と全国の学習センターの中で 2 番目の数となりました。残念ながら、2020 年度は新型コロナウィルスのために、この勉強会も中止となりましたが、今後とも、是非多くの学生の皆様に、卒業研究の感動と達成感を味わっていただくことを心より願っている次第です。


大阪学習センター機関誌「みおつくし」第81号より

公開日 2021-05-31  最終更新日 2022-11-08

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