【教員コラム】授業科目『イメージの力』の制作現場

橋本 朋広
教授(心理と教育コース)

今年度より始まった授業科目『イメージの力』(主任講師:佐藤仁美准教授)に分担講師として参加させていただき、これまでひそかに、かつ地道に行ってきた祭り研究を公の場で紹介することができた。印刷教材の第6章と放送教材の第6回では、和歌山県の那智の火祭についての研究、印刷教材の第7章と放送教材の第7回では、沖縄県のウンガミについての研究を紹介した(写真は、私が2003年に行ったフィールドワークにて撮影した那智の火祭の様子)。

那智の火祭を紹介した放送教材の第6回では、番組スタッフが各班に分かれて、壮大な那智の火祭の全体像を様々な角度から撮影した大迫力の祭り映像が紹介されている。わたしの講義はさておき、それだけでも見る価値があるので、興味のある学生のみなさんにはぜひ見ていただきたい。個人的には、これは将来的には貴重な民俗的資料になるのではないかとさえ思っている。また、第7回でも、残念ながら現地撮影とはいかなかったものの、これまたスタッフの尽力によって、ウンガミを紹介するたくさんの写真を提示することができた。
講義そのものは、イメージによる世界創造機能を論じるという少々堅苦しいものであるが、まさに『イメージの力』というにふさわしい、たくさんのイメージに満ちた放送教材になったと思う。ぜひ多くの方に見ていただきたい。

ところで、見ていただくとおわかりになるかと思うが、私の担当回の撮影は自宅で行われた。私が肺の病気で、幕張本部の収録に赴くことができなかったため、そうなったのであるが、自宅での収録では、撮影スタッフのプロフェッショナリズムに深く感動した。
本部の収録では、スタッフはいつも壮大なセットの背景に隠れているためにわかりにくかったのだが、撮影のプロは、じつにどんな場面でも、撮影に相応しい場所に変化させ、そこで必要な映像を獲得する見事な技術を持っていた。私の家の汚らしい応接間をあれやこれやと見まわしたかと思うと、うまく画面に入る場所を見つけ、そこを見事に切り取り、そうしてその周りに色々な機材をセットしていくと、そこはあっという間に本格的なスタジオに早変わりしたのであった。那智の火祭の撮影と言い、自宅での収録と言い、本当にプロというのは大したものだ、と感心した。
ちなみに、そうして行われた自宅での収録も、なんだか小さな共同体による祭りのようで、とてもわくわくした。おそらく、放送回の私は、どことなく嬉しそうな顔をしていると思うが、その背景には、じつはスタッフと一緒になって祭りみたいなことをしている、そういう喜びがあった。そんなことも画面から感じ取って、楽しんでいただければ幸いである。

放送大学シラバス『イメージの力(’24)』

(この記事は、2024年5月17日に執筆されました。)


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公開日 2024-06-28  最終更新日 2024-06-28

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