【学習センター機関誌から】 学びにおける「メタ認知」

長崎学習センター 客員教授 丹羽 量久

「認知」とは、文章を書いたり、本を読んだり、計算をしたり、事柄を記憶したりと頭を働かせること全般を指しています。
一方、「メタ」はギリシャ語に由来する接頭語で、「高次の」や「より上位の」といった意味を表しています。

これら2語を合わせた「メタ認知」は、認知心理学において人間の高次的な能力を捉えるために提案された概念で、自分の知的な働きを一段上から理解したり、調整したりすることを意味します。すなわち、自分自身の思考や学習のマネージメント能力ともいえます。
日々の生活においては、たとえば、料理を作るときに、食材の準備から盛り付けに至るまでをうまく段取りするような身近なことにもメタ認知が働いています。

さて、学習の場面におけるメタ認知にはどのようなものがあるでしょうか。
紙面が限られていますのでほんの一部ですが、以下、皆さんがメタ認知を働かせているであろうと考えられる行動をいくつか取り上げてみます。

事前段階として、あらかじめ、本当に学ぶ必要があるのはなにかを考えておいたり、いくつかのやり方を考えてみて最適なものを選んだり、時間が足りなくならないようにペースを調整したりすることがあります。
そして、遂行段階には、問題が解けないときなど、何か思い違いをしていないか、自分が知っていることと関係していないか、他の手順では解けないか、と確かめながら進めることがあります。
その際、状況に応じて解き方を使い分けたり、文中の事柄の関係性が複雑であった場合には図で表現して流れや因果関係を把握したり、うまく問題が解けないときは最初からていねいにやり直したりすることも該当します。
事後段階としては、課題を終えた後にそのことをまとめ直したり、もっと簡単なやり方がなかったかどうか振り返ったりする行動もそうです。
これらの事後の行動は次の学習に繋がっていきます。

このように、さまざまな場面に働くメタ認知があります。こうしたメタ認知の知識を豊富に持っておき、必要に応じて働かせることにより、より効果的に学習を進めることができます。
どうすれば自分はよりよく学べるだろうか、という観点で今一度皆さんご自身を見つめ直してはいかがでしょうか。最後に、参考図書を一冊紹介しておきます。
学習活動に関係する「メタ認知」を体系的に学んでみようと思われた方はご一読いただければ幸いです。

【参考図書】 三宮真智子:『メタ認知で<学ぶ力>を高める』,北大路書房,2018年,ISBN978-4-7628-3037-2.

*認知:生活体が対象についての知識を得ること。また,その過程。
    知覚だけでなく,推理・判断・記憶などの機能を含み,外界の情報を能動的に収集し処理する過程。[大辞林4.0]
 認識:物事を見分け,本質を理解し,正しく判断すること。また,そうする心のはたらき。[大辞林4.0]
 メタ:他の語の上に付いて,「間に」「超えて」「高次の」などの意を表す。[大辞林4.0]


(長崎学習センター 機関誌「出島」第107号より)


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公開日 2022-04-18  最終更新日 2022-08-01

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