【学習センター機関誌から】『心理職の「学び」について 』

北海道学習センター 客員教授 新川 貴紀

 

昨年の4 月より放送大学北海道学習センターの客員教員となりました北翔大学の新川です。臨床心理士と公認心理師という資格を持っており、大学の仕事の他にスクールカウンセラーとして小学校や高等学校に定期的に行っています。

心理療法やカウンセリングにと呼ばれる心理職の活動についての理論は数多くあり、現在でも新しい方法が提案されています。方法を学び使えるようになることは重要ですが、その背景にある理論を知ることはもっと重要です。理論というと難しく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その方法の基となる考え方や姿勢と捉えていただいても良いと思います。


心理職の活動に対して、治療や助言をするというイメージを持っている方もいます。上下関係があるとするなら心理職が上となるという捉え方かと思います。クライエントと呼ばれることが多い来談者について、心理職は少し会っただけで心が読めると思っている方もいるのかもしれません。少なくとも私は心は読めませんし、心理職がとクライエントの間に上下関係があるとは考えていません。クライエント本人が気づいていなかったり、忘れてしまっている強さや努力、能力や意欲などを一緒に探し続ける過程の中で、私自身いつも多くの学びがあったと感じています。


「学びがあった」と書きましたが、「学ばせてもらう」という受動態とは違います。もちろんクライエント本人に対しても能動的に「学んでもらう」という認識でもありませんし、「学ばせてもらった」と思って欲しいわけではありません。二人もしくはそれ以上の人たちの関わりの中でそこにいるすべての人に「学び」が「あった」と考えます。 心理職が予想していた通りの結果を得るために集うのではなく、予想外でもそこ集う人々に「学び」がある「場」を作るのが心理職や、心理職と協働する援助職の役割ではないかと最近は考えています。


このように考えるようになったのは「解決志向短期療法」や「開かれた対話」を知り実践を試みたこと、「中動態」や「正統的周辺参加」という考え方に触れたことが影響しています。これらについては機会があれば皆さんと一緒に考えたいと思っていますが、心理学の理論や概念というものは、その人のこれまで考えていたことや置かれている状況によって理解しやすさが変化してくるものだというのが私の実感です。

みなさんも私も常に変化しています。そのような人々が出会い、対話をする過程でみなさんにも私にも多くの「学び」があると信じています。


(北海道学習センター 機関誌「てんとう虫125号」より)



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