『正多面体と素数(’21)』 (放送授業・テレビ科目)

担当講師:橋本 義武
(東京都市大学教授)

<推薦者のコメント>小林 博樹さん(全科履修生)

「数の神秘」という言葉にぴくっと反応する方におすすめです。

放送大学には色々な数学科目がありますね。微分積分、線型代数、解析学、微分方程式、統計学などです。これらはどれも工業技術、金融経済など産業分野で直接利用されていると思います。言うなれば実用の数学です。
しかし今回お勧めする「正多面体と素数(’21)」という科目は一見どんな応用分野があるのか分からない、言わば「教養の数学」。教養学部ならではの教科ではないかと思うわけです。

3つの驚き
この科目を学んで驚くことが3つありました。
– 1つ目は立方体(正六面体)と正八面体は数学的に同じものだということ。
ある手法を取り入れることにより、一見全く違うものが同一視され、同じように取り扱うことができるということです。
– 2つ目は素数というものがただの数の分類なのではなくて、素数ならではの重要な機能があること。
素数が数の世界の形を決めると言っても過言ではありません。
– 3つ目は数には構造があるということ。
小・中学校で出てくる数直線上に1という数が載っています。また√2という数も同じ数直線上に載っています。同じ数直線上に載っているのだけれど、実はこの2つの数は違う次元の空間に存在すると考えることができて、1+√2は2次元のベクトルとも言えるのです。
以上のような私にとっては新事実や発想の転換を武器に数の神秘に迫るための入口に立たせてくれるのがこの科目なのです。

私の勉強法
実をいうとこの科目は抽象的で難しいです。だからとにかく具体的なイメージを持つことを心掛けました。
最初のうちはノートに具体例を書いて何とかイメージを思い浮かべようとしていましたが、途中から表計算ソフト(エクセル)上でそれをやるようになりました。これが嵌りました。エクセルに数字と数式を入力してドラッグすればいっぺんに多くの事例をシミュレートできて、「オー、そういうことだったのか!」となりました。


<橋本先生からのコメント>

コメントをいただき,どうもありがとうございます。大変励まされました。

この科目では、線形代数はもとより群や有限体なども用いるので、必要な予備知識が多くてちょっと大変かな、とは思ったのですが、『自分の足で山に登ることによってはじめて見える景色を自分の目で見てほしい』という気持ちから、学生の皆様方の意欲を信頼して、このような授業をいたしました。

この科目に取り組まれたあと、線形代数を改めてしっかり学んだり、整数論や代数幾何や表現論の学びに進んだり、続く道がいろいろあると思います。数学の学びは、ひとの理解がそのまま自分の理解にはなることはなく、なかなか孤独な作業となりますが、孤独であるからこその確かな喜びがあり、また、それを経験した人どうしの出会いから多くのものが与えられます。

これからの皆様の学びの歩みが豊かな実りをもたらしますように。



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公開日 2024-02-26  最終更新日 2024-02-26

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