個とチームの両立こそ
私はずっと臨床の現場で仕事をしてきました。いつの間にか30年が過ぎ、自分でも少々驚いているところです。
というのも、院生時代の私は仲間の話についていくので精一杯でしたし、クライエントである子どもとのかかわりもぎこちなく四苦八苦していました。正直、「みんなすごいなあ」と舌を巻いていたのです。
そんな私が少しずつ自分らしい臨床ができるようになったのは、おそらく現場に出てからの経験が大きいと思います。最初の医療の現場で他の専門職スタッフから「心理の先生は何をしているのかわからない」と言われたことには大きな衝撃を受けました。それから、チームの一員として仕事をしていくためにはどうあるべきか、連携・協働の模索が始まったと思います。そして、他職種との対話を通じて自分の仕事の在り方を振り返ることもでき、仕事の幅が広がることにつながりました。
心理職には自分一人でクライエントが支援できるよう思索しもち堪えられる力と、チームでクライエント支援を目指す二つの力が求められます。さらに、ケースによってその割合は変化します。いわば個とチームの「二刀流」にどう対応できるかが、心理職の専門性のひとつです。これは教育にも当てはまることと思います。
放送大学の一員に加えていただき、今度は教員として私の「二刀流」が始まります。みなさんとともに、よりよい学びを目指していきたいと思います。よろしくお願いします。
公開日 2023-10-24 最終更新日 2023-10-24