読書の秋! 客員教員おすすめの一冊(熊本SC)

古島 幹雄 所長

『文系のための微積分および統計入門』

古島 幹雄(著)

※古島所長が作成した解説書(講義資料)です。熊本学習センター視聴・学習室に用意していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください!

この講義資料は、高等学校で学んだ微積分の復習およびその確認とその応用として統計の歴史や基本的な概念および手法を解説したもので、今後、統計学を学ぶ際に参考となるように書かれています。
資料の例題や演習問題の解答を自分なりに検証し、概念や方法の理解に役立ててほしいと思います。


稲葉 継陽 先生

『昭和を語る――鶴見俊輔座談』

鶴見俊輔(著)

ISBN 978-4-7949-6844-9/出版社 晶文社

哲学者・思想家の鶴見俊輔が、1967年から91年まで、司馬遼太郎や都留重人、開高健ら13人の論者と交わした対談を集めた一冊です。
「フランスの思想家ポール・ヴァレリーは、『湖に浮かべたボートをこぐように人は後ろ向きに未来へ入っていく』と言った。鶴見は戦後世界の中で、過去を凝視しながらボートをこいだ人である。
今は亡き常識人たちと連帯することで未来を紡いでいこうとした哲学者である。
私たちは、そんな鶴見の『態度』に心を揺さぶられるのである」。
本書に収録された中島岳志による解説の一節です。
この本で「日本人」の社会認識、歴史認識の原点である「戦後」を見つめ直すことで、私たちの生きる態度や学問の方向性についての羅針盤を得ることができるかもしれません。
対談集ですから読みやすいのも良いところです。
鶴見を知るには、YouTube上にある「ETV特集 戦後日本 人民の記憶 鶴見俊輔」もおすすめします。


梅澤 彩 先生

『同性パートナーシップ制度―世界の動向・日本の自治体における導入の実際と展望―』

棚村政行・中川重徳(編著)

ISBN 978-4817843593/出版社 日本加除出版

現代社会においては、人々の価値観が多様化し、個人の自由(自己決定)の尊重という考え方が一般に浸透してきています。
それでは、家族形成に関する自己決定は、法的・社会的にどこまで認められているのでしょうか。
夫婦別氏婚や同性婚は、現状(判例や戸籍実務)においては認められていませんが、民法には「家族」そのものを規定する条文はありません。
近年では、(選択的)夫婦別氏制度や同性婚の導入を求める当事者による訴訟や活動が多く報道され、社会の耳目を集めるようになりました。
本書は、同性パートナーシップ・同性婚に関する世界の動向(ドイツ・フランス・イギリス・オランダ・アメリカ等)と日本の現状をまとめた書です。
研究者、日本において同性パートナーシップ制度を導入した自治体の関係者、政治家、弁護士、当事者の立場からまとめられた論考は、性的指向の自由とその権利保障の在り方について多くの示唆を与えてくれます。
少々古い書ですが、同性パートナーシップ制度や同性婚についての全体像を学習したい方におすすめの一冊です。


河添 博幸 先生

『アルフレッドアドラー 人生に革命が起きる100の言葉』

小倉広(著)

ISBN‎ 978-4478026304 /出版社 ダイヤモンド社

精神分析学の創始者フロイトの弟子であったアドラーは、フロイトのもとを離れたのち、個人心理学(アドラー心理学)創始しました。
アドラーを学ぶにあたっては日本ではアドラー派の方々がさまざまな書籍を出版されています。
そこでその中でもアドラーが記した文を抜粋して分かりやすく解説されているのがこの書籍です。
アドラー自身の論文にあたる前にまずはこの一冊で概要を掴んでおくことをお勧めします。


河添先生からもう一冊!

『ハーバード大学のボブ・ディラン講義』

リチャード・F・トーマス(著),萩原 健太(監修),森本 美樹(翻訳)

ISBN‎ 978-4636962192 /出版社 ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

2016年、ノーベル文学賞をあのボブ・ディランが受賞しました。
このニュースは高校生の頃からディランの曲を聴いていた私にとって驚愕の出来事でした。
「なぜ、ディランがノーベル文学賞を受賞したのか」、単純にこのことが私の頭から離れませんでした。
しかしその後、この書籍を読むことで私の中の疑問が解決されたのでした。
この書籍はハーバード大学で古典文学を教えているリチャード・トーマスがディランの詩についての講義を行っている、まさしくその内容を記したものだからなのです。
その内容とは、ディランの詩の解読をしながら、彼の作品と時代との関連性、またその作品がなぜ古典と言えるのか、などをギリシャ・ローマ時代の詩人たちが残した詩の数々と比較しつつ本質的な疑問に迫っていく唯一無二の書籍と思われます。
ぜひともご一読を。


慶田 勝彦先生

『新版 論文の教室―レポートから卒論まで』

戸田山和久(著)

ISBN 978-4140911945/出版社 NHKブックス

大学では、レポート提出を授業や試験の課題にする教員は多く、卒業論文が必修科目の学部もあります。
レポート・論文にはグローバルに通用する型と作法がありますが、入試の「作文」や「小論文」の延長という思い込みもあり、レポート・論文への学生の意識は高いとはいえません。
レポート・論文は感想文、小説、詩、エッセイ等とは全く違い、問いの設定、主張(問いの答え)、主張を導く論証の型、さらには章立て、「引用」(出典)、注、参照文献表記などの作法、そして無断コピペや盗用などの「剽窃(ひょうせつ)」を厳しく禁じている研究倫理を含みます。
一見難解に思えますが、型と作法を理解するとむしろ論点を明確に主張する文章スタイルであることが分かってきます。
国内外の学術世界で通用するレポート・論文とは何か?その基本を知りたい方には、科学哲学者・戸田山和久による『新版 論文の教室』を推薦します。「メウロコ」(目から鱗)の1冊です!


古賀 倫嗣先生

『地方消滅』

増田寛也(編著)

ISBN 978-4-12-102282-0/出版社 中央公論新社

少子高齢化の進展の中、2014年に政策提言機関「日本創成会議」が発表した「消滅可能性市町村リスト」は大きな衝撃を与えることになりました。
子どもの出産の95%を占める「20~39歳という『若年女性人口』」の「再生産力」に注目、その地域の2040年における減少率を測定し、減少率が50%を超える「「消滅可能性都市」が896市区町村(全体の49.8%)にも達するという結果が示されたのです。
熊本県では、①五木村(マイナス75.5%)、②山都町(74.2%)、③小国町(72.1%)、④球磨村(70.7%)といった結果になりました。
本書は、地域ごとに実態把握・原因分析・将来推計といった検討プロセスをわかりやすくまとめたものです。
もちろん、そうならないための「戦略」も提案されています。本書には、多くの批判が寄せられましたが、「2040年の地域の姿」を、これほどまでに鮮明にした研究書は他にはありません。
「地域社会」に関心を持つ人にとっては「必読の書」ともいえるでしょう。


小池ウルスラ先生

『Germany: Memories of a nation』

Neil MacGregor(著)

ISBN 978-1-101-87566-7/出版社 Alfred A. Knopf

大英博物館と共同でニール・マグレガーによって書かれたこの本は、神聖ローマ帝国の起源から現在に至るまでのドイツの魅力的で複雑な歴史を探求しています。
この本は、ドイツの歴史を時系列で見るより、ドイツの過去を定義する重要な瞬間、つまり世界を変える偉大な業績や悲劇を検証し、ドイツの歴史と文化がヨーロッパ全体にもたらした深い影響を描いています。
本は英語で書かれていますが、専門書でありながら、専門知識を必要としない、至って読みやすい一冊です。
私の授業を振り返るにはいい機会だと思いますので、是非お手にとってお読みください。


佐々木 千穂先生

『現代版 魔女の鉄槌』

苫米地 英人(著)

ISBN 978-4-89451-446-1/出版社 フォレスト

コロナ禍に際し、情報の収集に皆さん苦慮されているかもしれません。
連日のマスコミの報道やSNSの投稿など、どこからどのように情報を得る方がよいのかといった、いわゆるメディアリテラシーの重要性を再確認されている方も多いのではないでしょうか。
インターネットが身近になったのは最近のことですが、多くの方々が、スマートフォンを使用してご友人やご家族とやりとりしたりする生活が日常化していると思います。
様々な媒体(メディア)に潜む危険性を意識しつつ、しかし有効に活用していくことが大切だと思います。
今回ご紹介した書籍はいわゆる学術書ではありませんが、歴史や社会学など幅広い内容を含んでいます。
この書籍を書いた筆者が述べているとおり「鵜呑みにせず」メディアについて考えるきっかけにしていただければと思い、ご紹介させていただきました。


中野 裕司先生

『LISP 1.5 Programmer’s Manual.』

John McCarthy(著)

ISBN 978-0262130110

お勧めというほどではありませんが、感慨深いものでしたので紹介させていただきます。
1984年ごろ、修士1年の学生だったとき、たまたま加わった輪講で接したものです。
当時はまだパソコンは一般的ではなく、インターネットもまだの時代でしたが、その時点ですでに20年以上も前のコンピュータ言語のマニュアル?なんじゃこりゃ!という感じでした。
しかし、それは、今やシンギュラリティが囁かれる人工知能の始まりの言語に関するもので、マニュアルというより設計書で読み応えのあるものでした。
先見の明というか、現在は情報系の20世紀の名著に挙げられています(近山隆, 情報処理, Vol.45, No.12, 2004.)。


今回ご紹介した記事は、熊本学習センター機関誌「きんぽう」No.93号に掲載されております。

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