【新任所長挨拶】 新任のあいさつ(福島学習センター所長・中田 スウラ)

福島学習センター所長 中田 スウラ

新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。福島学習センターの教職員一同、皆さまを心より歓迎申し上げます。

さて、現代社会は「VUCA(ブーカ)」時代とも呼ばれ、それはV=Volatility(変動性)、U=Uncertainty(不確実性)、C=Complexity(複雑性)、A=Ambiguity(曖昧性)を意味する4語から構成されています。確かに、デジタル技術の急速な進化や新型コロナウイルスによるパンデミック、ウクライナ戦争の勃発、東日本大震災という人類が初めて経験する複合災害など、近年はこれまで経験したことがないような変化が起きている現実があります。

この急速に変化する社会において浮上する多様な地域課題の前では、私たちが過去に得た知識・情報・技術がそれら課題に対応する<解>とはなり難く、改めてその時点での<最適解>を創出しながら、既成の知識・情報・技術を省察し、それらを革新させることで初めてその向こうに未来が拓かれていくことがわかります。未来を拓く鍵は、持続的な<解の創造>に見出されています。

こうした思考性は、生涯学習を前提とする「知識基盤社会」の提唱とも共通しています。「知識基盤社会」は、21世紀の現代社会の特徴を、「新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す」社会として捉えられ、新たな知の創造・継承・活用が社会の発展の基盤だと位置づけられています。

その結果、そこで求められる人材の素養・能力は多様なものとなり、「新たな知の創造・継承・活用」のためには、高度の専門的な素養・能力を備えた上で、異なる知識・方法論を持つ多種多様な個々人が集い、それぞれの個性を存分に活かしつつ、チームとしての力を最大限発揮することが重要であると指摘されます。

即ち、国内・国際社会ともに一層流動的で複雑化した先行き不透明な時代では、相互の信頼と共生を支える基盤として、他者の歴史・文化・宗教・風俗習慣等を理解・尊重し、他者と積極的にコミュニケーションをとることができる力、その獲得が急務となります。

これら現代社会が内包する諸課題は、持続的な<解>の刷新と創造を求め、生涯学習社会のもとでの社会人の学び直しの重要性へと連動しています。こうした動向は、これまでの「伝達」的な教育・学習観をも本質的に問い直させ、これからは、予測不可能な地域課題を省察し進める「課題解決学習」を中心とした、「対話」的・「協働」的な教育・学習観に向けた変革が喫緊の課題として位置づけられています。

この変革への指向性が、必然的に、イノベーションの創造を可能とするための、大学・大学院等での「社会人の学び直し(リカレント教育)」が持つ重要性を再認識させているわけです。放送大学はその機能を担う重要な高等教育機関の一つとなります。

放送大学は、多様な学生がもつ属性と経験値を交流させながら、時間や空間の壁を越えやすく誰にでも開かれた高等教育機関としてその社会的責任が期待されています。この期待に襟を正して向かい合い、本学習センターでの人材育成を活かし社会発展を支えるという好循環を、構成員・関係者の皆様と一緒に確立していきたいと思います。

幅広い世代や多様な職業の方を含み多くの方々が学ばれている本学習センターで、皆さまとご一緒できることは大きな喜びです。皆様が有意義な学生生活を送られますことを切に願い、ご挨拶とさせていただきます。


福島学習センター 機関誌「もみじ」第101号(2023年4月発行)より

公開日 2023-05-23  最終更新日 2023-05-23

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