濱田 美和
放送大学富山学習センター客員教授


私は今話題になっているものから、ちょっと距離を置こうとするタイプの人間です。世の中にすっかり浸透した頃に使い始める慎重派です。ガラケーをはじめて持ったのも、周りでスマホを使う人が現れてから数年後です。生成AIについても、興味はあったので講習会に参加したりプロンプト(指示文)のマニュアルを買ったりしていましたが、積極的には使っていませんでした。AIの安全な使い方を身につけてからと思っていたのです。しかし、この春、使わざるを得ない状況に追い込まれてしまい、そのおかげで今回の「たんぽぽ」の原稿は流行に乗った話題で書けそうです。
さて、どんな状況に追い込まれたかと言いますと、スクールで出された課題を仕上げるため、2か月間毎日AIとやりとりしなければならなかったのです。今年2月に担当した富山学習センターのゼミで受講生の方々が生き生きと学んでいる姿に刺激を受け、3月初めゼミ終了直後に「私もやってみよう!」とオンラインのプログラミングスクールに申し込むことに。教材開発のためにプログラミングの知識を得ること、オンライン授業を受ける側の気持ちを知ることが受講の目的でしたが、一番の収穫はAIとの距離が縮まったことかもしれません。
スクールは月曜から金曜まで毎晩3時間、リアルタイムで授業動画を視聴しながら、先生や他の受講生とチャットでやりとりする形式です。日によって異なりますが、①先生の説明を聞く→②各自AIとやりとりしながら課題に取り組む(この間チャットで先生に質問・進捗状況報告)→③先生の説明を聞くといった流れです。課題の成否に大きく影響するのは、AIへの指示の出し方でした。うまく頼めた時はすぐに完成、そうでない時はAIに質問しつづけ疲れ果てて時間切れでした。
AIにうまく頼むには、こちらの意図を的確に伝えることが重要です。的確に伝えるには知識と技術が必要で、スクールで習ったコツの一つにAIに「現状」を伝えることがあります。「私はプログラミング初心者です。やり方がわかりません」と毎晩伝えつづけました。スクールで習う専門用語も効果的でした。専門用語をプロンプトに加えるだけで、回答の精度が上がるのです。
体力気力の衰えを感じるこの歳で授業についていけるのか心配でしたが、AIに助けられなんとか完走。AIがなければ途中で諦めていたかもしれません。AIはうまくコミュケーションが取れれば最高の相棒です。と同時に、先生の有り難みも痛感しました。先生は、こちらが的確なプロンプトを書かずとも、受講生の様子を見ながら今私が求めていること、そして、私が見落としていることを、要所要所で説明してくれます。また、AIの出力結果を読むのと、先生の説明を聞くのとでは理解の度合いが異なることにも気づけました。
スクール修了後、AIの力を借りながら教育アプリを作成しました。完成後、AIに「初心者レベルを超えています」と言ってもらえました。
富山学習センター機関誌「たんぽぽ」第135号(2026年7月発行)より掲載


