【学習センター機関誌から】アドバンス・ケア・プランニング(ACP)ってなんだろう(1)





北嶋 結
放送大学 青森学習センター客員教授
弘前大学大学院保健学研究科 助教

話題のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)について簡単に紹介します。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、「人生会議」という愛称がつくくらい日常的に親しみ深く取り入れてほしい考え方の一つとして、国で推奨しているものになります。

では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)ってなんでしょう。
日本老年医学会では、「ACPは将来の医療・ケアについて、本人を人として尊重した意思決定の実現を支援するプロセスである」と提言しています。
語源をみてみますと、Aはadvanceで「もしもの時に備えて、前もって」、Cはcareで「大切なこと、関心を寄せているところ」、Pはplanningで「継続的に何度も話し合って共有する」という意味です。つまり、意思決定の実現を支援するプロセスともいえます。

人は意思決定を日常的に行っています。例えば、食べたいものや行きたいところ、着たい洋服等を選択して、生活を送っています。
この日常的な意思決定には、非日常的な意思決定が含まれます。例えば、お金の問題や事故が起きたとき等の意思決定のことをさしています。この非日常的な意思決定には、医療における非日常の意思決定も含まれます。この医療における意思決定が、ACPで話し合うところになります。

ここで一つ考えてみましょう。
日常的な意思決定をしていない人が、非日常の意思決定を行うことができるのでしょうか。アメリカにおける研究データではありますが、終末期において意思決定が不可能な患者は約70%と報告されています。日本人のデータではありませんが、同じくらい、あるいはそれ以上に意思決定ができないかもしれません。

それでもすすめていかなくてはいけないACPですが、もう少し語源から考えてみましょう。
Pの「継続的に何度も話し合って共有する」というところに着目します。なぜ、継続的に話し合う必要があるのでしょうか。人は物事を決めるとき、即決できる場合、迷う場合、最終的に自分で決められない場合等があります。また、焦っているとき、心穏やかなとき、不安なとき、等それぞれ置かれている状況や心理状態によって、同じ課題でも決断した結果が異なってきます。
人の思いは揺らぎ変わっていくものととらえることが自然な考え方といえるでしょう。同じ課題でも、置かれている状況や心理状態によって揺れ動くことを踏まえて、その人の傾向を掴んでいくことが求められます。そのため、「継続的に、何度も」という持続的な視点が必要になってきます。


青森学習センター機関誌「りんご-林檎-」第117号(2024年1月発行)より掲載

公開日 2024-05-28  最終更新日 2024-06-25

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