2026年度 新任教員のご紹介

人間と文化コース

高木 和子 たかぎ かずこ

教授

関西学院大学文学部で15年、東京大学大学院人文社会系研究科で13年教鞭を取り、このほど早期退職して放送大学に移籍して参りました。

専門は平安時代の文学、特に『源氏物語』の研究です。『源氏物語』は平安中期に成立し、その後の日本文学や文化に多大な影響を与えました。美しい風景描写と繊細な心理描写に彩られた文章は、情報の発信が口頭と文字でしかなされず、音声も映像も記録できなかった時代ならではの、高度に洗練されたものです。また構成力もすこぶる巧みで、いくつもの筋立てを読み取ることができる、巨大な古典文学ならではの奥行きのある世界です。ご興味のある方は『源氏物語を読む』(岩波新書、2021年)、『源氏物語入門』(岩波ジュニア新書、2023年)、『源氏物語の作者を知っていますか』(だいわ文庫、2023年)、『平安文学でわかる恋の法則』(ちくまプリマ―新書、2011年)などをご覧ください。よろしくお願いいたします。


社会と産業コース

中村 文彦 なかむら ふみひこ

教授

実践的な都市交通を学んできました

1985年に東京大学工学部都市工学科を卒業後、大学院へ進学、途中で都市工学科助手になり、学位取得後、タイのアジア工科大学を経て、1995年に横浜国立大学に着任しました。その間、アジアや南米の特徴的な都市交通についてのフィールドワークを重ね、ブラジル連邦クリチバ市では現地の大学の客員教授も務めました。その後、東京大学大学院新領域創成科学研究科で社会人教育プログラム「スマートシティスクール」立ち上げに参画した後、今年から放送大学で働かせていただくことになりました。

バスターミナル設計運営支援、フルフラットミニバス輸入支援等の実務支援経験とともに、国土交通省交通政策審議会地域公共交通部会長として地域交通法等改正支援の一方で、情報提供やシェアリングの価値の実証的研究、働き方変革後のピークレス都市の提案、文化的な活動の余韻を味わう場を尊重する余韻都市の提案などを手掛けてきました。現場から多くのことを学びつつ、俯瞰的客観的視点を忘れることなく、これからも教育・研究活動を続けていきます。特に現役世代の専門分野の学び直し、若い方々の学びの動機付けの支援に関心があります。どうぞ、よろしくお願いいたします。


心理と教育コース

松本 大 まつもと だい

教授

学校教育以外の学びとは何か?個人や社会にどんな意味があるのか?

私の専門分野は、社会教育・成人教育・生涯学習です。大まかにいえば、学校教育以外で営まれる成人の学習を研究対象としています。

そもそも、学校教育以外の学習とは何でしょうか。一般的に、教育や学習と聞いて思い浮かべるのは、小・中・高校や大学における教育だと思います。

一方で、学校教育以外にも学びは多様に存在しています。大人になってから仕事や家庭に必要なことを学んだり、趣味を深めたり、文化を身につけたり、地域や生活をより良くするために知恵を出し合ったり……。意識的なものだけではなく、無意識的なものも含めて、私たちの生活や人生は学びとともにあります。

では、このような学校教育以外の多様な学びは、個人や社会にとってどのような意味があるのでしょうか。人生とは学び続ける旅であると指摘されることがあります。そうであれば、人生あるいは生活を豊かにする学びとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。それは学校教育とどのように異なるのでしょうか。また、国や行政は、そのような学びをどのように保障し支援すべきなのでしょうか。社会教育・成人教育・生涯学習の実践と研究は、こうした問いと向き合っています。


人間と文化コース

森 一郎 もり いちろう

教授

哲学の愉しさ

利根川流れる田舎に生まれ育ったのんびり屋の少年は、県立男子校でバンカラな校風に染まり、「哲学」という学問へのあこがれを抱きました。大学に入って哲学科の門を叩き、『存在と時間』という哲学書を読み耽って卒業論文を書きました。そこでしみじみ感じたのは、哲学を学ぶことの愉しさでした。

味をしめて大学院に進み、ハイデガー研究を続けた青年は、ますます哲学の世界に遊ぶ愉しさを味わいました。指導教官はこわい先生でしたが、酒が入るとただの酔っ払いとなり、憎めませんでした。ソクラテス、プラトン以来、酒宴(シンポジウム)は、哲学に付きものであり、アカデミズムの王道なのです。

そのこわい教授のもとで助手を務めて以来、東京女子大学、東北大学と渡り歩いたあと、旧師、渡邊二郎が教えた放送大学に、畏れ多くも勤め始めました。放送大学では、「時間と存在」という科目(仮題)を目下準備中です。これは何を隠そう、ハイデガーの未完の主著を書き継ぐという念願を果たそうとするものです。

そんな大それたことができるか分かりませんが、少なくとも、自由にものを考えるという、人間ならでは遊びの愉しさを、皆さんと共有できたらと願っています。


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