森本 容介
情報コース/教授


ChatGPTをはじめとする生成AIが話題になっています。レポートの作成にも使えることから、教育機関では生成AIの利用について議論が進んでいます。
ChatGPTは、コンピュータプログラムの作成、改善、問題点の修正なども行えます。オンライン授業「C言語基礎演習 (’20)」と「続・C言語基礎演習 (’23)」では、指定した要件を満たすC言語のプログラムを作成して、その説明を記述するレポートを出題しています。レポート課題の中から8つを選んで、プログラムをChatGPTに作らせてみました。最初に出力したプログラムを見て、改善できる場合は、最大3回修正させました。プログラムだけを(プログラムの説明は除いて)採点すると、100点満点で次の通りでした。
課題 | 初回の出力 | 改善後の出力 |
1 | 90点 | 100点(1回修正) |
2 | 100点 | ─ |
3 | 70点(誤りあり) | 100点(3回修正) |
4 | 40点(誤りあり) | 50点(3回修正)(重大な誤りあり) |
5 | 95点 | 100点(1回修正) |
6 | 60点 | 70点(3回修正)(誤りあり) |
7 | 70点 | 65点(3回修正) |
8 | 100点 | ─ |
課題1、2、5、8は、初回から高品質なプログラムが出力されました。課題3は、初回は誤りがあったものの、3回修正させると完璧なプログラムになりました。課題4、6、7は修正を重ねてもあまりよいプログラムにはならず、提示した仕様を修正途中で忘れて悪化したりもしました。今回は1世代前の無償版を使いましたが、課題によっては十分に使えることがわかります。今後の技術の進歩で、さらによいプログラムを出力するようになることは間違いないでしょう。
では、これを使えば学習が不要になるかといえば、そんなことはありません。今回の例では、出力されるプログラムを人間が読めないと、誤りがあるかを判定できません。中身を理解して適切な指示を出さないと、改善することもできません。さらにいえば、プログラミングを学ぶことで得られる最大の利点の一つともいえる思考力(プログラミング的思考などと呼ばれれます)を身につけることもできません。
調べものや文章執筆など、プログラミング以外にChatGPTを使う場合も同じです。その分野に関する基本的な知識、技能を持った上で、作業補助のために使うというのが現時点での適切な使い方でしょう。
これからの社会では、AIについて知っておくことも必要です。放送大学では、「データサイエンス・リテラシ導入 (’22)」、「データサイエンス・リテラシ基礎 (’22)」、「データサイエンス・リテラシ心得 (’22)」(いずれもオンライン授業)を開講しています。ぜひ受講をご検討ください。
これに加えて、学生以外の方も受講できる、AIに関連した講座も開講しています。AIの概要やAIとの向き合い方から、専門的な技術、各分野へのAIの応用まで、幅広い講座を開講しています。以下のサイトをご覧ください。
(この記事は、2023年9月28日に執筆されました。)
公開日 2023-10-24 最終更新日 2023-10-24