生まれてから30歳を越えるまで、私は秋田から出たことのない人間でした。
狭い環境の中で育った故か、私にとっては大学というものに、とくに意義や魅力を感じず歳を重ねてきました。
しかしそんな私に大学とは何かと考えるきっかけを与えてくれたのは、青年海外協力隊として過ごしたバングラデシュでの2年間の経験でした。
日本とは全く異なる途上国の環境において、たくさんの現地の方と交流をしていく中で、大学での学位が自分の専門性を証明する上でとても重要な意味を持っていることを知ることとなりました。
見知らぬ人との挨拶の中で、ごく自然に自分の学位について話すのが一般的なことでした。
それ故に、大学を卒業していなかった当時の私は、新たな人と知り合うたびに、自分のことを明確に証明できない歯がゆさと劣等感を感じることになりました。
そんな思いが募った結果、帰国後すぐに、私は大学に入り自分を証明する術を持ちたいという思いに至りました。
その目的を叶える上で、仕事をしながらでも学び続けることができる放送大学に出会い入学することを決めました。
在学中は様々な時間の制約の中で勉強に励むことになりました。それは孤独な学びであり、自分自身との闘いでした。
時には仕事から帰り、机に向かうときにはもう疲れてしまい、なにもやる気になれず、何度も何度も挫けてしまいそうになるときもありました。
しかし、それでも、1ミリずつでもいいと、少しずつコツコツと自分のペースで前進し続け、卒業まで辿り着き、学位を得ることができました。
それは、ひとえに先生方、素晴らしい学友との出会い、そして影になり日向になり学びを支えてくれた家族があったからこそだと思います。次は、放送大学大学院へ進学し修了を目指したいと考えています。
私にとっては生涯、学ぶことの旅に終わりはない。何歳になろうが、はじめようと思ったその時がいつもスタートなのです。
これからも、未来を恐れず、過去にとらわれず、今を生きていきたい。
プロフィール
佐藤 貴之(さとう たかゆき)
1978年 秋田県仙北郡仙北町(現在の大仙市)生まれ
2011年 放送大学教養学部情報コース 入学
2021年 放送大学教養学部情報コース 卒業
現在、IT関連の仕事をしながら、放送大学大学院への進学を準備中
※2022年3月28日本誌掲載の記事です。
秋田学習センター http://www.sc.ouj.ac.jp/center/akita/
公開日 2022-05-18 最終更新日 2022-12-06