
長年勤務した会社を退職し、その子会社での第二の人生も終えて、暇が出来たので、有名な長谷寺の牡丹の花の見物に出掛けました。
境内の小さなお堂で十数人の聴衆を前にして僧侶が説教をされていました。冷やかし半分に聞いていますと突然「国家の恩を忘れてはいけない」と申されました。
会社と言う小さな組織で育ち、狭い視野しか持っていなかった小生は、国家の事など真剣に考えた事も有りませんでしたので非常に驚きました。
僧侶は「先の大戦で日本が敗戦した結果、中国や満州等の外地に一般人を含む数百万人の日本人が取り残されました。極端な食糧不足等も重なって、日本人は著しい苦境に陥り、一種の亡国の民に成ったのです。我々が現在平穏な生活を送れているのは日本国と言う国家の保護のお陰ですから、その恩を決して忘れぬように」と申されました。
この説教に刺激を受け、日本と言う国家をもっと知ろうと考えていた矢先、放送大学の存在を知り、早速入学致しました。
学部には「社会と産業」、「自然と環境」等の6コース全てを卒業し200科目以上受講させていただいたお陰で国家や社会、更に社会保障等の仕組みも理解できる様になりました。
また各組織に属する人々が各々の場所で与えられた職務に黙々と精励されている事(「司さ司さで」と言うようです)もよく理解出来ました。
現在も名誉学生としてほぼ毎日学習センターに通い学習を続けています。
兵庫学習センターには多くのサークルがあり、学生生活を楽しむ為にコーラスに入りました。そこで美しい「放送大学学歌」があるのを知りました。
「われらは学ぶ 世界を 自分を、われらは知ろう 社会を 自然を」と小生の入学目的にぴったり叶った歌詞を歌い励まされています。昨年兵庫学習センター開設30周年記念式典の際、舞台に上がり学歌を披露したことは良き思い出です。
小生現在92歳の超超高齢者になり余生少なくなりましたが、放送大学の場をお借りして「生涯教育」を全うさせて頂きたいと願っております。
プロフィール
吉田 好道(よしだ よしみち)
1932年 滋賀県生まれ
2005年 放送大学教養学部 自然の理解専攻卒業
2008年 放送大学大学院文化学研究科(修士課程)総合文化プログラム修了
2011年 〃 産業と技術専攻卒業
2013年 放送大学教養学部 人間と文化コース卒業
2015年 〃 生活と福祉コース卒業
2017年 〃 心理と教育コース卒業
2019年 〃 情報コース卒業
同年 放送大学名誉学生
※2024年11月25日発行 文部科学教育通信「私の放送大学」掲載の記事です。
公開日 2025-01-24 最終更新日 2025-02-05