福岡学習センター客員教授・九州大学大学院農学研究院教授
佐藤匡央
(専門:栄養化学)
人は何を食べなくてはいけないかは既に決まっています。よく言われるアンバランスな食生活という,食べなくてはいけない物を食べていなかったり,多く取り過ぎたりしている先進国特有の現実があります。
仕事柄,学生からも講演に伺った先でも「効率の良いダイエットを教えて下さい」という質問を受けます。人を含む生物は,「物質」としての性質があります。質量保存の法則もエネルギー保存の法則も成立します。
ダイエット方法はたった一つです。「エネルギーの入りを減らして,出を増やす」だけです。つまりエネルギーの摂取制限と運動をするだけです。皆さん理解していると思います。一方では,人には物質としての性質以外に,精神つまり高度な脳機能をもっており,それが生み出す「欲求」が存在します。ダイエットに様々な方法が存在するのは,食欲と飽きの問題です。
インターネットを調べると,数多のダイエットが閲覧できます。もし実践するなら必ず三つの視点が入っている方法を選んでください。一つ目は「エネルギーの入りを減らして,出を増やす」が入っていればダイエットは成功します。
次に,「食べなくてはいけない物」つまり栄養素をバランスよく摂取しているか? です。これは人によって違ってきます。運動量や目的(治療なのか痩身なのか)によりますので計算が必要です。そのために栄養士,医師がいます。
ダイエット(食事療法)という考え方が始まって以来,ついてまわる「継続」が三つ目の視点です。ダイエットを成功させるための最難関はこの項目です。私の意見ですが,成功の秘訣は楽しんでやることです。楽しくなければ続きません。苦行のようになることはよくないと思います。”Cheat day”(エネルギー摂取を抑えて食事をしていると継続しないので好きな物を食べて良い日を設定すること。ただし,制限していた分のエネルギーを超えない計算をして設定間隔に注意するように)のような日を設定するのもその一つでしょう。
ゲームのような感覚で行ったらいいと考えています。ダイエット方法はたくさんあるので,飽きたら,ゲームソフトをかえるように方法をかえれば良いのではないかと思います。ダイエット・ゲームとは楽しんで行うことです。
福岡学習センター機関誌『おっしょい』58号(2022年7月発行)
公開日 2022-12-16 最終更新日 2022-12-16