【学生の声】「生涯学習」をとおして知りえたこと

宮城学習センター学生

放送大学にお世話になって25年になる。教員免許状を上位免許に切りかえるため、修士科目生として在籍したことが機縁であった。当時は、免許切りかえの最終期限が迫っている時期であり、「上位免許だと給与があがる」というデマが国内に広まっており、多くの小中高教員が必要単位を修得するために放送大学に在籍していた。私もご多分に漏れず在籍したのだが、初めての放送授業に不慣れさを感じながらも内容の深さに感銘し、放送大学に魅力を覚えるようになっていった。

必要単位を修得した後、同僚たちが大学を去るなか、「学習を継続しよう」と決意したのは、慶應義塾大学の国文科と哲学科に合わせて7年間在籍したモラトリアム人生への反省からであっただろうか。否、それ以上に生涯学習の大切さを痛感したからである。また、現職に奉職した際、「学問と研究の両輪をフルに回転させよ」と恩師である間瀬啓允氏(現慶應義塾大学名誉教授)に言われたことも大きく私の背中を押すことになった。

学部は「発達と教育」と「人間と文化」を卒業し、大学院は「教育開発」と「人文学」を修了した。学部では、面接授業に関して事務の方から助言をいただき、認定心理士の資格を取得した。また、学校教育相談に関する修士論文の一つは、依頼された筑波での国家研修における講話の重要な資料となる。そして、もう一つの修士論文は、作家の故遠藤周作氏の作品に表出される宗教性に関するものであったが、この論文が認められて「遠藤周作事典」の共同執筆者に抜擢されることになった。放送大学での学びを通して、多少なりとも社会に貢献できたことは今でも嬉しい限りである。

25年に及ぶ放送大学での学びを通して私が知りえたことは、ソクラテスの唱える「無知の知」に尽きると思う。自らがいかに無知であるかを知ることによって、学ぶことも含めて生きるうえでの謙虚さを少しは身につけることができたのではないかと感じている。そのような学びとともに、今後も謙虚に生きることを忘れない自分であり続けたいと考えている。


プロフィール
永田 俊文(ながた としふみ)    放送大学 宮崎学習センター所属

1967年北海道生まれ。
慶應義塾大学文学部(国文科・哲学科)卒業。
宮崎市在住。
東京都の私立中高での勤務を経て、現在、宮崎県立高校教諭、担当教科は英語。
在職中に、放送大学教養学部卒業、放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了。
趣味はキリシタン史跡巡り、料理、散歩とジョギング。遠藤周作学会会員。
共訳「ジョン・ヒック自伝」(トランスビュー)、共著「遠藤周作事典」(鼎書房)。


※2026年6月8日発行 文部科学教育通信「私の放送大学」掲載の記事です。


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