小川 弘二
放送大学鳥取学習センター 心理と教育コース卒業生
うーん、この田舎で大学教育を受けるチャンスってなあ。夜間大学はないし、専門学校も種類が少ない。この歳で家族を置いて岡山や広島、関西に通うこともできないし。そんな悩みを抱えつつ、思い切って日本大学通信教育部に入学したのは子育ても仕事も多忙を極めている40代でした。案の定3年ほどで挫折。時間もお金も続きませんでした。その後50代になって「放送大学」に入学しました。地味な校名に少々モチベーションが下がる気分を感じつつの高齢者学習です。日本大学で取得した僅かな単位はすべて既修得単位として認めていただき、心理と教育コースで学びました。途中、病気で数年間はほぼ学習ができなかったことや、多忙なために年に数単位しか取得できないようなこともありました。しかし放送大学では、自分のペースで焦らず学んでいける環境が整えられていたことや、全国に配置された学習センターによる充実したサポート体制、一流の講師による学びの機会、自宅学習やオンライン、面接授業という多様な学習方法が用意されていたことは、心にも時間にも財布にも優しい配慮として特筆ものでした。
学習方法としては面接授業が一番楽しく学びやすいと感じました。全国各地のセンターの授業に出向く機会は小旅行のようで特に専門授業の講師からの深い学びや学友との出会いは非常に楽しいものでした(もちろん希望する授業科目の抽選に受かるかどうかの問題はありますが。)。また、わくわくするような授業のタイトルに、これも受けたい、これもと、これでは日本全国を飛び回ることになってしまう、と残念に思うこともたびたびでした。他方、自宅学習では仕事との両立のため、時間がなくて集中学習となることが多かったものです。単位は取れても、もっとじっくり学んでおけばさらに確実に身につくのに、と反省することもしきりで、「計画学習」の大切さを痛感しました。
最近、甥っ子が「おじさん、僕、大学の通信教育で学びたいけど相談に乗ってくれる?」と言ってきました。私のつたない経験を話したあと、「放送大学はオススメだよ!」と伝えたのはもちろんです。都会の名の知れた大学と比べればマイナーで地味な感じは否めませんが、内容は生涯学習を主眼とし、かつ日本の一流の講師陣による知の基盤としての立派な高等教育を受けることができるのです。これは確かに美味しい!
放送大学の今後のさらなる発展を心より祈念いたします。
鳥取学習センター機関誌「ぷりずむ」第195号(2024年10月発行)より掲載