【退任のご挨拶】放送大学埼玉学習センターでの濃密な思い出

放送大学埼玉学習センター客員教授 小澤 基弘 

2022年3月で5年間務めた放送大学客員教授の職を辞することとなりました。
最後の2年間はコロナ禍でしたが、私はそれでも月に二度は来学するようにしておりました。時々学習相談がありましたし、誰もいない埼玉学習センターではやはり寂しいと感じておりましたので、居るだけでもいいのかなと思い、継続して通っておりました。
ですから、フルに5年間勤務できた実感があります。

学習相談はさほど頻度はありませんでしたが、コロナ前は月一度のペースで「サロン小澤」をやっておりました。希望者が自作を持ち寄って、それぞれの作品について私がコメントをするという単純な形態でしたが、定期的に参加する受講者がかなりいらっしゃいました。

私は「ドローイング」という、和訳すれば「主観的素描」と訳される類の表現を専門としています。それは、観察したものを正確に2次元に再現する「デッサン」とは質の異なる表現であり、自分の心中を率直に吐露する類の、真正な自己表現と言えます。

参加される受講者はこうしたドローイングに興味を惹かれていて、各自それぞれの大変力溢れる作品を毎回持参してきてました。それぞれに非常に新鮮な表現で、私はむしろ教えられる立場のようにも感じてました。

なかには目の不自由な方が参加されたことがあり、その方の描くドローイングがとてもすばらしく、私にはこれまで見たことがない初体験の表現でした。その方は後天的に目が不自由になられた方ですから、記憶像があります。その記憶像を頼りに、そして同伴されている方(この方も熱心な参加者でした)に画材や画面の位置を確認しながら描いていたということでした。

こういうケースは大学で教える際にはありえないことです(私は本務校は埼玉大学です)。放送大学はこのように様々な年齢層、そして様々な事情を抱えた方々が在籍されていて、その多様性こそが最大の魅力なのだと思います。
教える立場であると同時に教えられる立場でもある、実に不思議なそして濃密な5年間を過ごさせていただきました。

本務校の埼玉大学も退職まであと3年を残すのみとなりました。こちらは30年勤務しております、が、放送大の5年間はそれと比肩できる中味の濃い充実した時間であったと感じています。コロナが明けて再度かつての活気を取り戻す埼玉学習センターの様子が思い浮かびます。

学生の皆さま、今後もご健康でそしてご闊達に勉学に励まれますように!
また、事務職員の皆さま、そしてセンター長の堀尾先生、他の客員の先生方、大変お世話になりました。心から感謝申し上げ退職の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました!


 

(埼玉学習センター機関誌「さきたま」2022年春号(通巻48号)より)

 

機関誌『 さきたま 』バックナンバーはこちらから→https://www.sc.ouj.ac.jp/center/saitama/about/magazine.html

公開日 2022-07-15  最終更新日 2022-07-30

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