【学習センター機関誌から】〜自分のルーツを訪ねて… 歴史小説を読もう!〜

常葉大学 健康プロデュース学部 教授 浜松SS 客員教授 柴田俊一
(専門:児童福祉・臨床心理学)

人間ある程度、歳をとってくると比較的多くの人が関心を持つらしい分野として、自分のルーツ、家系などがある。若いうちは自分の家系図になど興味もわかないことが多いが、そろそろ人生の終盤に差し掛かり、ふと自分ってどこから来ているのだろう、そしてこの後、どのような終焉を迎えるのだろうなどということを考えることになるらしい。


筆者も父が亡くなり、父が死ぬ前に聞いておけばよかったということがいろいろ出てきた。次はいつか自分も死ぬのかなと思ったとき、そもそも自分の先祖ってどうなっているんだということが気になりだし、盆・正月に親戚が集まったときに模造紙を出して家系図を書き始めた。さらに遠い親戚を訪ね、わからなかった先祖のことを聞いてみたりした。父方、母方の曾祖父母の代まで、おおよそ家系図が完成した。それだけでも数十人の人が記されている。

ちなみに、親が25歳の時に子が生まれている計算で、一世代25年の年齢差があるとして計算すると、1人の子に親が2人、その親の親がそれぞれ2人で4人と計算していくと、10世代前、約250年前、江戸の後期に先祖が1,024人、徳川家康が江戸に幕府を開いた1603年は、16世代前には、先祖が65,536人いることになる。よく言われるように、この中の1人でもかけていたら自分は存在していないことになる。そのような折に、思わず戦国時代からの家系が身近に受け継がれていることを知り驚くこととなった。


臨床心理学を専門としている筆者としては、臨床心理学など心理学関係の「歴史」以外には、ほぼ興味がなかった。徳川家康の先祖である松平氏は、筆者の生まれ育った村の近くの村の出である。家康の生まれは岡崎市である。筆者も岡崎市に生まれ、家康の活躍した浜松城近くで仕事をしてきた。出身の大学は、小牧・長久手の古戦場の近くだった。また、三河に育ったものは桶狭間といえば、有名な精神科の病院があるところくらいしか関心がなかったが、昨年、NHKの大河ドラマで明智光秀を見ていて、愛知県・岐阜県・静岡県は、戦国時代の信長・秀吉・家康を輩出した地域であることにあらためて気が付くこととなり、それぞれの活躍を描いた歴史小説を読んでみた。

中でも、山岡荘八の「徳川家康」は文庫本で全26巻、世界でも最も長い小説と言われているが、地元の地名がたくさんでてくるし、水野、石川、本多、大久保、蜂須賀、酒井、井伊など、昔からクラスメイトの中によくいた姓が頻繁に出てくるので、飽きずに読むことができた。そもそも、戦国時代の家臣たちの末裔が今でも、この地方には多く住んでいる可能性があるから多い名前なのだと思う。


徳川家康の若いころからの家臣として有名な石川数正は、三河時代からの重鎮である。「徳川家臣団・子孫たちの証言」(小和田哲男2015年静岡新聞社)を読んでいて石川数正の子孫が、筆者の育った村に今も住む従弟が子孫であったことがわかり驚いた。歴史小説に登場する人物が、今とつながっている。戦国時代もそんなに昔のことじゃないような感覚をもった。
コロナ禍で、外出が制限されている時期だからこそ、自宅にこもって自分の先祖を思い歴史小説を読み進めてみてはいかがだろうか。


(静岡学習センター機関誌『燈』115号より)

機関誌『燈』バックナンバーはこちらから→https://www.sc.ouj.ac.jp/center/okinawa/about/magazine.html

公開日 2021-08-17  最終更新日 2021-08-17

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