沖縄学習センター客員教員 森山克子
(専門分野:給食管理、調理学、食育)
島豆腐は水さらしをしません。そのため味わいのある濃厚な豆腐です。水さらしをしない島豆腐の出来立て、熱々の状態をあちこーこー豆腐と言いあちこーこー(熱々)豆腐は、沖縄でしかたべられない美味しい豆腐! 古くからチャンプルー(季節の野菜と島豆腐の炒め)、ゆし豆腐など沖縄の家庭料理の重鎮そのもの。島豆腐の魅力を多くの方にまず、味わっていただきたい!
また、SDGsグローバルの視点からも重要な地場産物。残す手立てはないものか?リサーチしたところ、あちこーこー豆腐の保存と継承のためにあちこーこー豆腐保存プロジェクト(沖縄県豆腐油揚げ組合)と「温かい状態で販売する島豆腐少規模製造事業者におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」の作成協議会が立ち上げられたことを知り感動しました。食の専門職はぜひ手引書を手に!
前回の連載で衛生管理の面から考えられるコメントは「県食品衛生協会」ではなく、前述の「手引き作成委員会の委員」からのご説明だと教えて頂きました。委員のあちこーこー豆腐の生き残りにかけた沖縄の食文化への情熱に感銘を受けました。今回、「島豆腐の現状やあちこーこー豆腐保存プロジェクト」について伺いました。委員:あちこーこー豆腐プロジェクトを始めた最大の理由というのは、今話題のHACCPではなく「県民があちこーこー豆腐を食べていない」というところです。県民が食べないから売れない。
理由は実にシンプル。豆腐屋さんは写真に表記された時間に一日2~3回、3~5時間おきに島豆腐を納品します。豆腐屋以外の業者は納品を済ませると仕事は終わりますが豆腐屋さんの仕事は一度の納品では終わりません。納入した島豆腐は売れ残ったら3~5時間後、再び豆腐屋さんが回収して廃棄しています。そのため実質的な販売時間は3~5時間となります。その販売時間でないと豆腐屋さんもあちこーこー豆腐の品質がもたないと分かっているので数回、小売店へ足を運ぶことになります。
このように、朝早くから豆腐を複数回作って時間に合わせて届けるという非効率的な作業が行われていますが、あちこーこーを届けるあちこーこー島豆腐の販売にはこの形態が必須かつ重要です。売れ残って食品ロスになるともちろん商売としては十分儲かるというわけではないので、経営面から後継者がいなくなり、豆腐屋さんが少なくなっているというのが豆腐屋サイドの一番の問題です。
一方、 HACCP 実現のため、55度3時間をクリアーするという業者さんが、複数いらっしゃいます。業界が二極化しています。そこで私たち(前述、作成協議会)が考えているのは、島豆腐を保存するために一番大切なことは、HACCP基準を満たすことではなく、消費者のみなさんがあちこーこー豆腐をあちこーこーのうちに買っていただける限度であちこーこー豆腐が生き残っていくことができると考えています。
そして、私達がプロジェクトの一番に考えたのが、消費者と小売り流通業者に対して沖縄でしか食べられない水さらしをしてない濃厚な豆腐というのが今、目の前にあってこれをどのくらい残していくのかということを消費者と小売店さんにアピールしつつ、買ってもらう仕組みを作らないといけない。と考えているのがプロジェクトの一つ目です。 二つ目は、おじいちゃんおばあちゃんがやっている小規模の豆腐屋さんに希望があれば55度3時間を確保するために保温剤をおく、または保温庫希望する方へクラウドファンディングを考えています。三つ目は、県内島豆腐製造業者がスムーズにHACCPに取り組めるように無料の動画発行。以上.メルマガ登録で本プロジェクトの情報や島豆腐れからの歴史などが届きます。ご希望方はどうぞ!
食文化を残すためにはあちこーこー豆腐を食べるのが一番!若い世代の豆腐屋と昔ながらの作り方でおじいちゃんおばあちゃんが頑張っている豆腐屋をご紹介します。
若い世代の豆腐屋さんが先代の志を継ぎつつ、身近に島豆腐を感じる新たな方法で販売店に卸す以外に昔の豆腐屋さんのように「とうふ~とうふ~」と販売を展開しています。
移動販売車では厳選された食材を使用し、体に優しいこだわりの豆腐やお惣菜などを出来立ての状態で8つのコースの担当者がご自宅までお届けします。
おじいちゃんおばあちゃんが頑張っている首里コーポ近くにある昔ながらの小さな豆腐屋さん「かりんだ豆腐」をご紹介!「かりんだ」の意味は「食べてみよう!」です。
手を抜かない手法での島豆腐の味に自信があるのが伝わってくるユニークなネーミングです。
公開日 2021-07-19 最終更新日 2022-11-08