【学習センター機関誌から】Book Clubでは今(サークル紹介)

(福島SC)Book Club会員 目黒セツ子

 

現在Book Clubは会員8名、清田直樹会長を中心に原書を輪番で割り当てられた範囲の和訳、または要約をして発表し、意味の取りにくかったところについては会員みんなで自分の解釈を述べ合うという形式で主に英語ゼミ(現在福冨先生担当)のある日に学習センターの一部をお借りして行っています。


ただ今まではPhilip Larkin著のA Girl in Winterを除いて、すでに翻訳本のある英米文学でもクラシックなものに取組み、いざという時には、その翻訳本を参照することができたのですが、今回私たちが取組んでいる本は、私の知る限りでは翻訳本がまだ出ていないので、解釈は全て私どもに拠るものです。

そんな曖昧なことでは納得できないという考え方もありますが、先日Asahi Weeklyを読んでいて、東京大学文学部教授で英米文学研究者の阿部公彦氏が次のように述べていました。「近年英語教育の中で『話すこと』や『コミュニケーション』が重視される傾向にあります。しかしながら『読む』というのは文化の基礎です。読むことを通して、人間は人間になっているというくらいです。奥深いものに触れるためには、文章をじっくり読むのが大切です。読めて当たり前の日本語だと、油断して読み過ごしてしまいます。でも外国語だとどうしてもわからない部分があるので、自然に丁寧に読む。まずは外国語を丁寧に読むことを知って、そもそも読解とは丁寧に読むことなのだと発見したうえで、日本語も丁寧に読むことにつながっていけばいいと思います。」


阿部教授でもわからないことに出会う。そこを丁寧に読んで、解明する。私は丁寧に読んでも解明できないところがある。そこが教授と私の違いなのだ。また英文を丁寧に読むことは、日本語を丁寧に読むことにつながっていけばいいとのことだが私にはまだその実感がない。ただ単にボケ防止にやっている。とはいえ、自分の担当箇所を逐語訳していると直訳では表しえない日本語と英語の違いに気づき、意訳をどうするか悩んだりするのに面白味を感じることがあります。


実は、今読んでいる本は私が紹介したものです。私の師であるクレーラー牧師ご夫妻が50年間の会津での奉仕を終え、お子様たちのいるハワイに移住、しかし、夫君アーミン先生が移住して17年後の2016年に94歳でお亡くなりになり、その直後に妻のエヴェリン先生がこの本に出会い非常に感動して、私に是非読むようにと薦めて下さったものです。Book Clubで次に何を読むかとの話し合いでこの本の話をしたところ、皆さんの賛同を得て、今回取り上げて頂くことになり感謝しています。残念ながらエヴェリン先生も今年2月8日に95歳でご逝去なさいました。この本に書かれたような「美しい天国」でお二人が再会なされたと思い、今、私の心の慰めとしているところです。

皆さんも英語に興味を持たれましたら、一度Book Clubの活動に参加してみませんか。お待ちしております。


福島学習センター機関誌「もみじ」 95号 2021年10月より

公開日 2022-01-18  最終更新日 2022-11-11

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