【学習センター機関誌から】「弘前の楽しみ」

⻘森学習センター客員教員
平岡恭一

ドルチェ、キュート、シャーロンズ、ルビースイート、ローズパール。これ、何の名前だと思いますか。実は全部りんごの品種(商品名)なのです。りんごの町弘前でもあまり聞いたことがないという⼈が多いのではないでしょうか。この他に珍しいものでは、「森の輝き」、「おいらせ」、「光陽」、「こうとく」、「4-23号」などがあります。

私は秋⽥の⽣まれですが、弘前に住んで40年以上になります。弘前で⽣活できてよかったなあと思うことは沢⼭ありますが、その中でもりんごがおいしく、さまざまな発⾒があることは、この町ならではのことで、⼤変⼤事に思っています。


皆さんはりんごを買い求めるとき、どうしていますか。私はスーパーマーケットも覗いて⾒ますが、通りにある個⼈商店によく⾏きます。そのような店は、うれしいことに放送⼤学のある弘⼤キャンパスの近くに沢⼭あるのです。

まず、⼤成⼩学校の周りに三軒あり、それぞれ、元気なおばちゃん、普通のおばちゃん、お買い得品をたくさん置いているおじさんがいます。さらに富⽥⼤通りに品数の多い⼀軒があり、そこはおじさん、おばさん、時には息⼦さんと思しき⼈が出てきます。いくら呼んでも誰も出て来ないときがあるのが⽟に瑕ですが・・・(⼤丈夫かなあ)。さらに⾜を伸ばすと、⼟⼿町にある⾷品市場にも果物屋さんが⼆軒向かい合っており、通りに⾯しているので、外国⼈観光客などさまざまなお客さんが訪れるようです。

このような個⼈商店の中に冒頭挙げた名前のりんごを売っている店があります。ふじや王林の味はおおよそ予想がつきますが、初めて⾒る名前のりんごは、「どんな味なんだろう︖」と興味津々、少々⾼くても味⾒⽤に⼀個買ってしまいます。

中には名は体を表すものもあり、例えば「キュート」は、ちょっと⼩さめで表⾯の⾊は薄緑、体の真ん中のあたりから下がキュッと細く締まっていて、本当にその名のようにキュートでかわいい感じです。また「ドルチェ」という名前にはびっくりし、店の主⼈に「外国産ですか︖」と聞いたら、「弘前はねえ、りんごの町だからいろんなのがあるんだよ」と教えてくれました。

味はまあ、良い意味で期待を裏切られるものや、「名前負けしてるね」というものなど様々ですが、それはそれで楽しいというものです。これらの珍しい品種は、「夏緑」や「祝」などの早⽣種が終わってふじ・王林などの主⼒品種が本格的に登場するまでの過渡期に、⾬後の筍のように次々と出てきます。その寿命も短く、次々と店頭に出るものが変わっていくので、店に⾏くのがとても楽しみです。

このような店のお客の中には、常連さんがいることが多く、店を経営しているおばちゃんと親しく話しているのをよく⾒ます。私はそのような光景を⾒ると、うらやましく、あのようになりたいと思うのです。それでも熱⼼に通っているうちに、近年は店のおばちゃんに認められ、「毎度様」とか「お兄さん、これすぐ⾷べてね」などと親しく声をかけられるようになりました。とてもうれしいことです。


私はこの季節、今度はどんな新しいりんごに会えるかとわくわくしながら、テリトリーを⾒回る猫のように、これらの個⼈商店を定期的に回っているのです。それは⽣活を豊かで期待に満ちたものにしてくれます。私は弘前の町に住んでとても幸せだと思っています。専門的ではありませんが、「りんご」の巻頭⾔なので、今回はりんごの話にしてみました。


(青森学習センター機関誌「りんご第105号」より)

機関誌『りんご』バックナンバーはこちらから→https://www.sc.ouj.ac.jp/center/aomori/about/magazine.html

公開日 2021-08-18  最終更新日 2021-08-18

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