【学習センター機関誌から】 エッセイ大賞の発表

北海道学習センター

このたび、学友会との共催でエッセイ大賞を企画、作品を募集した結果、39件の応募をいただきました。予想を超えた応募数に驚くとともに、昨年から実施のZoomアプリを用いた学生交流行事とは異なる学生さんの参加が多く、道内各地域の方と新たなつながりを持てたことは大収穫でした。

エッセイは、日々の暮らしの中での素直な思いやその場の情景を描くことが大切だと思います。この2年余りの間、生活が大きく制限される中、皆さんからそれぞれの思いを寄せていただきました。作者の思いが読み手にどれだけ伝わるか、そのような視点で審査をお願いしました。今回の「エッセイ大賞」は優劣を付けることが目的ではなく、日頃は他者に思いを綴る機会が少ないと思われる中、今回の応募がそのような機会となり、読まれた方の心に響いたのなら幸いです。


【大賞授賞作品紹介】 ことばが映し出す「今」

選科履修生 N・K(帯広市)

私のここ最近の一番のニュースは、ガラケーからスマホにしたことだ。大事に使ってきたガラケー、サービス終了目前の交換。寂しさを覚えながら親に「スマホにしたよ」とメールすることにした。
そこでふと気づいた。文章を打つときに出てくる予測変換が「今」を映し出しているのだ。「ころなか」と打てば「コロナ禍」が、「りもー」まで打てば「リモートワーク」が出てくる。どちらもガラケーにはなかったものだ。約1年半で多くの人がこの状況を表すことばを必要としていたのだと感じた。

よく「ことばは生き物」といわれる。次々と生まれ、変化し、使われなくなったり、長く残ったりする。3 密、ソーシャルディスタンス、ステイホームは今となっては耳慣れたことばであろう。一方、自粛警察、コロナ差別といった好ましくない状況を表すことばも生まれた。
我々は感染症とどう向き合っているのか、人との結びつきはどう変化したのか。現在進行形でそれらが「ことば」となって現れてくる。新しく生まれたことばが使い続けられるのは、それでなければ表せない状況や気持ちが続いているからだといえよう。未来の我々がコロナ禍について語るとき、「自粛警察」や「コロナ差別」が現役のことばでないことを祈る。

さて、ワクチンにより好転の兆しが見え始めた今、様々な事情で接種しないことを選んだ人への視線は、厳しいものになっていないだろうか。不自由でも仕方ないという雰囲気をつくってはいないだろうか。我々によって次に生み出される「ことば」が我々を見つめている。


北海道学習センター機関誌「てんとう虫」126号より

公開日 2022-03-18  最終更新日 2022-11-11

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