
大学に入ろうと思ったのは、定年が近づいてきた50代の後半で、定年後の生き甲斐を見つけておくことが必要と感じたからでした。大学での勉強を体験してみたいという気持ちもありましたが、何より定年後にそれまでの交友関係が切れるので、大学で新たに友人を作ることも大きな目標でした。そこでいくつかのサークルに入ることで新しい友人も出来ました。単に気が合う人だけでなく、学問について議論ができる人とも会えたのは大学ならではの貴重な体験です。
科目のコースは仕事に生かすわけではないので、少し興味を持っていた心理学を学ぶため、心理と教育コースから始めました。最初のうちは単位をとることだけが目的でしたが、後半になると学んだ事柄から新たな興味が湧いてきて、関連する本も読むようになりました。授業で「経験が積み重なり見えてくるものが変わってくる」と習いましたが、学ぶという経験がなければ新たに興味を広げることもなく、受動的な生き方しかできなかったと思います。次々と興味の対象が広がることで毎日の充実感が得られています。
心理と教育のコンセプトは『「ヒト」から「人間」へ』で生物的個体の「ヒト」が社会的・文化的存在としての「人間」へ発達する過程における社会や文化的条件、心身の機能や構造の発達的変化を研究するコースです。他のコースも人とどう関わるかをコンセプトに掲げているのが多い気がします。これは自分を客観的にとらえ直すメタ認知が重要だと言われていますが、この考え方に沿ったものという捉え方もできると思います。
私たちの考えや経験と共に成長し、深化する『生きた知識』という言葉がありますが、これは年齢に関係なくすべての人に当てはまることです。「生涯教育」の定義は「個人の人生を豊かにすることを目的とした学び」ですが、それを支援している放送大学に入っていることで、当初の生き甲斐づくりの目標は達成されていると思います。
プロフィール
鵜飼 広行(うかい ひろゆき) 放送大学 滋賀学習センター所属
2009年10月 全科履修生として入学
2019年9月 心理と教育コース卒業
2023年9月 社会と産業コース卒業
2023年10月 自然と環境コースで入学
※2026年4月27日発行 文部科学教育通信「私の放送大学」掲載の記事です。


