【学習センター機関誌から】生成AIはコンピュータの使い方を変える!?

森下 淳也

放送大学兵庫学習センター客員教授

森下淳也氏顔写真
AIの文字が上に載ったコンピュータチップ画像

大きな脚光を浴びているのは、生成AIと呼ばれるAI技術である。生成AIではユーザは自分の実現したいものを、文章で、実現に必要なわずかなキーワードを与えて依頼文を作成し、生成AIにそれを指示すると、キーワードから導かれる内容を創造して、全く新しいものを作り出してくれる。

これは大規模言語モデル(LLM)という自然言語でAIとやり取りできる仕組みによって、文章が解釈され、その内容がAIによって吟味され、AIが学習した膨大な知識を駆使して、既存データのコピーではない全く新しいものを作り上げてくれる。結果も様々なもので、文書、画像、音声、動画、数学の計算、プログラミングなどなど。

生成AIとして最もよく使われているのはOpenAIのChatGPTであろう。既に世界中に多くの利用者がいる。GoogleからはGeminiというシステムが提供されている。MicrosoftからはCopilotという生成AIサービスがある。

既にあるサービスにも生成AIを用いた結果が使われるようになってきている。今、Google検索を行なうと、検索結果の冒頭に「AIによる概要」という項目が見つかる。これは検索語を使って生成AIが検索者の欲しい内容を予想して回答したものである。既にこの効果の調査があるようで、AIによる回答によって、その後のページ遷移の割合が減少したとの報告も見受けられた。つまりキーワードでwebサイトを検索したのだが、検索結果のGoogleのページだけで満足したということだ。ちょっと皮肉である。

AIの知識にも限りがある。が、困ったことに知らないことでも適当にAIが堂々と嘘をついてしまうという現象が見つかり始めた。ハルシネーションと呼ばれている。存在しない人物や書籍、判例をでっち上げるのだ。注意が必要である。

クラウドで作業できるMicrosoft 365はCopilotから始まるようになっている。ワープロや表計算、プレゼンテーションのソフトがCopilotと連動するようなのだ。このような状況になると、やがてコンピュータを使う時には、まずは生成AIにやりたい事を依頼するところから始まるようになるのではないか、使うプログラムの選択すら、AIに決めて貰って処理をする、などということになるのではないかと想像する。

無料で使えるものも多いので、是非、お試しあれ。但し、結果は正しいかどうか吟味する事をお忘れなく。


兵庫学習センター機関誌「つばさ」第79号(2025年11月発行)より掲載

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