仲間がいればこそ
Book Club 渡部 桂子
Book Clubは英語で書かれた文学作品を輪読している同好会です。これまでに、オースティンの「説得」、ブロンテ姉妹の「ジェーン・エア」「嵐が丘」、モームの「月と六ペンス」、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」、現代文学作品のカズオ・イシグロの「日の名残り」、バイセルの「ブックセラーズ・ダイアリー」などの英米の文学作品を読んできました。
今学期は、前期から持ち越した「ブックセラーズ・ダイアリー」を読み終わり、5月半ばからは、南米コロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作「百年の孤独」(1967年)をスペイン語から翻訳された英語版で読み始めました。英語圏以外の作品を読むのは初めての試みです。この作品は、大学の放送授業「世界文学への招待ʼ22」でも取り上げられていますが、神話的要素と近親婚の普遍的タブーとカリブ海域の地方特性が、作家の生育環境とあいまって背景に見え隠れしている作品のようです。
実はこの作品、昨年文庫化され、飛ぶように売れているとされていますが、読み解き支援キットや家系図がついて来るような一族の繁栄と滅亡の100年間を綴った壮大な物語で、400ページを超える長編小説なのです。その上、何人もの「アルカディオ」と「アウレリャノ」が何代にもわたって繰り返し登場します。私にはとても一人では読み通す自信がありません。Book Clubの皆さんと一緒だからこそ読んでみたい本を読む勇気が出るのです。
Book clubでは、各人の分担箇所があらかじめ決められていて、遠方からの参加者に便宜を図るため、学習センターでの英語ゼミ開催日程に合わせて、分担者が順番に発表する形式を採っています。このようにデッドラインが決まればモチベーションが高まり、何事も後回しにしがちな私でもなんとか当日に間に合わせることができるのです。その間に、わからないことを調べたり、疑問に思うことを抜き出したりして、Book Clubの皆さんと話し合う準備をして当日を迎えます。必ずしもその場ですべてが解決することばかりではありませんが、もつれた糸が解けるような大きなヒントを得ることも度々です。
最近、すべての作家に当てはまるかはわかりませんが、文学作品には当時の時代背景や作家の成育歴、生活環境が大きく影響しているように感じています。「百年の孤独」でも、ガルシア=マルケスの自伝「生きて、語り伝える」によれば、物心がつくころから、祖父により何百回も繰り返し語るのを聞いていたバナナ会社のスト弾圧事件が架空の土地の出来事として語られているそうです。その辺りまで読み進めるにはまだ少し時間がかかりそうですが、実際の出来事と比較しながら読んでみたいと思っています。
これからもBookClubの一員として、仲間と一緒に多様な価値観や文化に触れる機会を得て、見聞を広めていきたいと願っています。


福島学習センター機関誌「もみじ」第111号(2025年10月発行)より掲載







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