【学生の声】「放送大学とわたし」烏尾 朋江




若い頃は挫折ばかり。何を専攻するかで父親と対立し意地を張った受験は失敗、失意のうちに短大の英文科に進み、悶々とした日々を送った。卒業後、さしたる目標もなく編入学するも卒業には至らず中途挫折、ひとえに自分の実力不足と意気地の無さによるものだ。それでもこの間に得ていた教員免許、図書館司書、司書教諭の資格を以って、図書館司書として私立大学に勤務した。

毎年迎える新入生たちから学ぶことは多かった。後年、学内の研究所への異動で学生との関わり方も変わり、この頃、放送大学の存在を知ることとなる。研究所長の講義の参考資料として放送科目のテキストが採用され、資料紹介や概要説明等でゼミにも参加した。良い機会と思い放送大学の科目履修生となり、単位認定試験も学習センターで受験した。

定年退職後、かつて学んだ英語、中でも好きだった言語学についての知識を深めたいと、放送大学の全科履修生として編入学した。受講科目はコースにかかわらず選択し、フィールドワーク系の面接授業では全国各地の美術館・博物館・城郭等々現地視察は旅行気分も楽しめた。英語の面接は認知言語学、比較言語学(英語と日本語の特質)、英詩と俳句との関連性等も興味深い。

一つ解るとさらに疑問が生まれる、つまり知ることで、自分の知らないことは何かが分かる。かのソクラテスの謂う「無知の知」を実感しているところである。摘まみ食い状態だった単位を形にすべく整理してエキスパート申請し、博物館系3件、異文化交流1件を得した。

サークル活動は「俳句クラブ」を、また私の立ち上げた「自主ゼミ女子会」では俳句的その意味でも齢を重ねることは大きなアドヴァンテージである。「人生百年、学びも百年」をモットーにこれからも歩んでゆきたい。

野焼きはこの時季、全国各地で催される春の風物。枯草を焼き害虫を駆除して新しい芽吹きを促す。大地の底から蠢く再生のエネルギーは、人生の希望にも重なる。末黒野に立てば大地の鼓動かな 朋江


プロフィール
烏尾 朋江(からすお ともえ)  放送大学広島学習センター所属

終戦直後生まれ。40年近く私立大学に勤務。
今、俳句に夢中。浦川聡子先生にお会いしたい、全国の学習センター俳句会の方々にも。

※2025年4月14日発行 文部科学教育通信「私の放送大学」掲載の記事です。


放送大学広島学習センターウェブサイトはこちら>>

公開日 2025-06-27  最終更新日 2025-06-27

関連記事
インターネットで
資料請求も出願もできます!