【学習センター機関誌から】新たな学びと発見の春 ~ブルーベリーの青色の秘密~

久枝 良雄

放送大学福岡学習センター所長

4月に入学された学生の皆様、おめでとうございます。また、引き続き学習を継続されている皆様、本年度もよろしくお願い致します。
皆様がそれぞれの目標に向かって充実した学びを進められるよう、福岡学習センターも全力でサポートしてまいります。

放送大学の大きな特徴は、通信教育のみならず、全国に57の学習センターやサテライトを通じて面接授業を提供している点です。各分野の第一線で活躍する講師陣による直接の指導は、学びを深める貴重な機会となります。
しかし、多くの学生にとって、通学の負担は決して小さくありません。
そのため、放送大学ではライブWeb授業を開始し、全国どこからでも受講できる学習環境を整えています。放送授業や面接授業とライブWeb授業を組み合わせることで、より柔軟で効率的な学びが可能になります。是非、ご自身のライフスタイルに合わせて活用してみてください。

さて、皆さんはブルーベリーの青色の秘密をご存知でしょうか? 
ブルーベリーはアントシアニンという色素を多く含むことで知られ、その色は長らくアントシアニンによるものと考えられてきました。アントシアニンは酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色を示しますが、強いアルカリ環境では分解しやすい性質があります。
しかし、2023年2月に英国ブリストル大学の研究グループが発表した研究によると、ブルーベリーの果実が見せる青色はアントシアニンによるものではなく、果皮表面のワックス層が青色光を散乱する「構造色」によるものであることが明らかになりました。

「構造色」とは、特定の色素によるものではなく、物質の微細構造が光を特定の波長で散乱・反射することで発現する色のことを指します。孔雀の羽や玉虫の輝きがその代表例です。
ブルーベリーの表面を覆う2〜4ミクロン程度の極薄のワックスブルームと呼ばれる層が青色の光を散乱させるため、私たちの目には青く見えるのです。実際に果実を絞ると、得られる液体は暗赤色であり、青色色素は含まれていません。
この発見は、「当たり前」だと思っていたことにも、まだまだ未知の側面があることを改めて実感させてくれます。

学びとは、身近なものに対する視点を変えることで新たな発見を生むものでもあります。
ブルーベリーの青色のように、皆さんの身の回りにも、まだ解明されていない不思議が隠れているかもしれません。卒業研究や修士論文のテーマとして、こうした日常の中の謎に取り組んでみるのも面白いのではないでしょうか。

また、福岡学習センターは改修工事のため一時的に仮移転しておりましたが、5月から元の場所に戻る予定です。より快適な環境で皆様の学びを支えられることを楽しみにしています。
本センターを、学びの拠点として是非ご活用ください。新しい学期のスタートとともに、皆様が新たなチャレンジに取り組み、知的探究心を深めていかれることを心より願っています。


福岡学習センター機関誌「おっしょい」第69号(2025年4月発行)より掲載

公開日 2025-04-25  最終更新日 2025-04-28

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