國居 朋子
放送大学山口学習センター
臨床心理学プログラム修士課程2年
何かに突き動かされるように大学院を受験した日から、2年が経とうとしています。今回、『とっくりがま』への寄稿という機会をいただいて、今在籍している臨床心理学プログラム修士課程での出会いと学びについて、改めて考える時間をいただいた気がしています。
私が受験を決めたのは、22年間続けてきた教員の仕事を、家庭の事情で辞めざるを得なくなったからです。「まだまだ、学校で子どもたちに関わる仕事がしたい」という思いに加えて、できればせっかくのチャンスなので別の視点で教育を見てみたい・・・、そんな思いでいたときに、放送大学にぴったりのプログラムがあることを知り、すぐに願書を取り寄せました。
受験用にはじめた臨床心理学の勉強でしたが、今ではすっかり「ハマって」しまいました。それは、修士課程1年目にある、幕張本部での面接授業の影響が大きいと思っています。あまり知識のないまま、そして幕張のこともよく知らないまま参加した第1回目の面接授業。そこには、全国から集まった、それぞれに事情は異なるけれども同じような志をもつ同期生たちと、ハイレベルな学びを授けてくださる教授陣との出会いがありました。教授の先生方は、私たちに、テキストの文字を追うだけではない、とても熱のこもった心揺さぶる授業をしてくださいました。放送大学は、市販されているテキストだけでも、素晴らしい一読の価値のある学びができます。しかし、リアルに向かい合って、「心を扱う学問とはなんだ」ということを考えさせてくださったあの授業での体験は、一生私の中に残り続けるだろうと思っています。
そして、何といっても一番は、学びを支え合う仲間と出会えたこと。臨床心理学で言うところの「中年期」に入ってから仲間と出会えたことの喜びは、この上ないものです。全国に散らばっているということを逆手に取って、頻繁にオンラインで勉強会をし、できれば卒業ゼミ旅行をしようと計画しているところです。受験したころには、こんなに楽しい仲間たち、そして素晴らしい学問との出会いが待っているなんて思いもしませんでした。心理学では「心の声に耳を澄ます」ことを大切にします。学びたい、という自分の心の声をキャッチしてみて本当によかったと思っています。
山口学習センター機関誌「とっくりがま」第107号(2024年7月発行)より掲載
公開日 2024-11-22 最終更新日 2024-11-22