【学習センター機関誌から】ライブWeb授業と“学習の個性化”

有馬 道久

香川学習センター所長

ライブWeb授業「心理学実験(基礎)」は、コロナ禍の中で面接授業「心理学実験」が閉講になったり定員が減ったりして、受講したくてもできない人のために、2022年度第1学期から始まったWeb会議システムを利用した新しい授業形態です。

その次の学期から私もこの授業を担当するようになったのですが、当初は、この授業のやり方にあまり乗り気ではありませんでした。というのは、心理学実験の授業を学生として受講した経験と講師として担当した経験から、実験前のインストラクション、実験者と実験参加者の役割を交代しながら行う実験、その後のデータ集計や分析という一連の作業の教育効果は対面授業でしか達成できないと思い込んでいたからです。

しかし、実際にライブWeb授業の講師を担当し、受講生の皆さんが熱心に受講する姿や意欲的に実験に取り組む姿を拝見したり、回を追うごとに上達するレポートを読ませてもらったりすると、この授業形態には対面授業に勝るとも劣らない大きな教育効果があることを実感しました。

中でも、離島や遠隔地に住んでいる人、子育てや介護などで自宅を長時間離れられない人、障がい等があって移動が困難な人、あるいは、仕事等の都合で平日開催の面接授業を希望する人にとっては、ライブWeb授業で受講できたこと自体が大きな教育効果だと言えるでしょう。

もちろんそれを可能にしたのは、よくできたシラバス、実験をオンラインで実施できるWebサイト、出席登録からディスカッション、レポート提出やその相互評価まで管理するLMS(学習マネジメントシステム)、そして、Web会議システムを利用したZoom授業があったからこそです。

じつは、ライブWeb授業の可能性を感じた理由がもう一つあります。それは、受講生の中に他の受講生と顔を合わせるのが苦手な人や対面よりも画面を通して受ける方が授業に集中できると答えた人がいたことです。これはまさにスノーら(Snow et al., 1965)の実験で明らかになった適性処遇交互作用(ATI)だと思いました。

この実験では、まず、大学生を対人積極性の高い群と低い群に分けました。そのうえで、各群に“教師による授業”と“映像授業”を受けてもらい、テストをしました。その結果、図1に示すように、対人積極性が高い群では“教師による授業”の方が、一方、対人積極性の低い群では、逆に“映像授業”の方がテストの成績がよかったのです。つまり、学生の対人積極性という適性の違いによって、授業形態の効果が異なることがわかったのです。

これからは、学習者が自らの興味関心に沿って目標を立て、それを達成するための学習内容と方法を自分で選ぶ「学習の個性化」の時代だと言われます。これは、大学の側からみると、学習者の多様なニーズに応えられる豊富な学習内容と学習方法を提供する必要があるということになります。その点で、ライブWeb授業は有力な学習方法の選択肢だと言えます。皆様もご自分の適性やニーズと照合しながら、受講してみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があると思います。


香川学習センター機関誌「息吹」132号(2024年4月発行)より掲載

公開日 2024-05-28  最終更新日 2024-05-28

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