放送大学は、ひとことで生涯のバイブルであると言っても過言ではありません。
また、夜間高校時代の主事先生は、京都大学にて哲学を専攻された方で、入学したばかりの我らに、世界は「円環構造で螺旋状」だと講義された。それが妙に私の哲学思考の端緒になったように覚えている。
放送大学入学した事始めに『自己を見つめる』(渡辺二郎著)を選択した。面接授業では、金沢まで師を追っかけ受講した。その折、師から講座本に次のようなサインを戴いた。「これが生きると言うことだったのか。よし、それならば、もう一度!」(2002,11,30)と認められた。
このように始まった放大入学間もない頃、ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。……方丈記との出合いがあり、川の流れが不可思議で終日眺めていた小年期の記憶が沸々と甦り、「これが円環構造の一つなのかな?」との深い縁を感じるに至りました。
こうして放大の多種多様な教養講座は、途轍もない大きな思考回路の世界へと導かれたのであります。
米寿を迎えた今年で、放大在籍二八年目を履修中ですが、それは教養課程全般に亘って魅力満載だからなのです。
爾来、教養講座は、私の生きる上での〝みちしるべ〞的存在であり、同時に学生サークル活動では、談風会(社会問題など)、古典文学(原文読み)、アートのひろば(芸術分野)などなど学生間交流に暇がない日常が続いています。
ふと、現実生活を顧みれば、記憶を失くした妻の介護に明け暮れる中にあっても、教養の道しるべは、生ある限り必須のバイブルであり続けることに疑う余地はありません。
と同時に、二人三脚で歩んで来た生涯の戦友でもある妻への思慕の源は「愛」の一字に尽きるのです。
これらの思いを述べる機会を与えて戴いたことに、深く感謝申し上げます。合掌
プロフィール
1935年 三重県伊賀市出生
1941年 国民学校初等科入学
1947年 新制中学入学
1950年 逓信省上野電気通信管理所就職
1953年 県立名張高校定時制入学
1995年 NTTを定年退職
1995年 放送大学入学
※2024年1月8日本誌掲載の記事です。
公開日 2024-03-29 最終更新日 2024-03-30