人間と文化コース 野崎 歓 教授
放送大学の附属図書館が所蔵する貴重な本の中から、図書館長で人間と文化コースの野崎歓教授が、現存する最古の日本語訳聖書といわれている「約翰福音之伝(ヨハネふくいんのでん)」をご紹介します。
キリスト教が禁止されていた江戸時代に西洋と日本の2つの文化が出会う瞬間に立ち会った人々の壮大なドラマが垣間見えます。
「異文化との出会い」という授業を作っている中で、色々と聖書の翻訳の歴史を調べていたところ、「約翰福音之傳」という貴重な本が放送大学の附属図書館に所蔵されているということがわかりました。
1837年シンガポールで作られたこの「約翰福音之傳」は、初めて日本語に翻訳された新約聖書として、歴史上大きな意味を持つと先生は語ります。
(ヨハネ福音書はイエス・キリストの教えを説く新約聖書の中でも、最も重要で有名なもの。)
当時の日本(江戸時代後期)は鎖国が続きキリスト教の禁止令が出されていました。
そんな中、ポーランド出身の宣教師ギュツラフと、日本人、音吉(おときち)が協力して翻訳した「約翰福音之傳」は、世界1周の旅の果てに生まれました。
世界規模の出会いのドラマが産んだ「約翰福音之傳」。
複製版、復刻版というのが、放送大学の附属図書館の保存庫にあります。
附属図書館にはそういう貴重な図書がたくさん収蔵されており(約37万冊)、しかも大部分の本が 開架式書架に出ていますので、こういう貴重な出会いを求めて一度この附属図書館を訪ねてみていただきたいと思います。
およそ200年前に作られた「約翰福音之傳」についてもっとくわしく知りたいという方は、2022年開講のラジオ科目「異文化との出会い」の第1回「キリスト教との出会いー聖書日本語訳の歩み」で聴くことができます。
本編は放送大学YouTubeチャンネルでご覧頂けます。
放送大学キャンパスガイド 2022年9月号①より
公開日 2022-10-21 最終更新日 2022-10-21