青森学習センター客員教員 ⼀條 健司
このたび機関誌「りんご」の巻頭言執筆の機会を頂戴し大変ありがたく思います。と申しますのも、長らく自宅の本棚に眠っていた『リンゴの歴史』(エリカ・ジャニク著、甲斐理恵子訳、原書房、2015)の存在を思い出し、ようやく読む機会を得られました。
リンゴの原産地、園芸の広がり、神話や伝説、シードルなどについて楽しく学ぶことができました。
りんごに感謝です。
せっかくりんご県に暮らしていますから、身近な施設でもりんごを学ぼうと、板柳町のふるさとセンターに足を運びました。
栽培方法や病害虫対策に関する先人の偉業や古く貴重な書物などの展示をみて、沢山の努力がおいしいりんごを生み出し、りんご県の経済を支えていることを改めて痛感しました。りんごに感謝です。
ふるさとセンターの帰り道、冒頭の書籍に書かれていた”シードル”が頭から離れず、夕食に添えようとスーパーに立ち寄り、弘前市栄町製造のものを購入しました。
その栄町のシードル工場は元々、今は美術館になったレンガ倉庫にあったようで、弘前の美術館とりんごとの繋がりを興味深く思いながら、グラス数杯をおいしくいただきました。りんごに感謝です。
専門(情報工学)に関する話題はないのかとお叱りの声が聞こえてきそうなので、冒頭の書籍に少しだけ書かれていたApple 社とスティーブ・ジョブズについて、ご存知とは思いますが触れます。
Apple 社は、ジョブズの友人スティーブ・ウォズニアックが趣味で設計したパソコンをApple Iと命名し商品にしてビジネスをしようと、ジョブズの自宅にて1976年に創業されました。
企業名と商品名に” Apple” を用いた理由として、ビートルズが1968年に設立したApple Corps 社に由来するとの説があります。
Apple Iはウォズニアックの趣味が色濃く反映されたパソコンであったので、ジョブズは自分好みのパソコンのアイディアをウォズニアックに伝えApple II が開発されました。
これはヒット商品となり、ビートルズ側から” Apple” の商標を巡り提訴されたほどです。
Apple 社といえばMacintosh(マッキントッシュ)というパソコンを連想する方もいらっしゃると思います。これはApple 社の新型パソコン開発プロジェクトを立ち上げたジェフ・ラスキンが、自身の好みのりんご Mcintosh(和名は旭)から命名したパソコンです。
Mcintosh はカナダの農夫ジョン・マッキントッシュが1811年に偶然発見し栽培にのりだしたりんごだそうです。
Apple II もMacintosh も1970年代後半から1980年代のパソコン普及に一役買いました。
もちろん現代に至るパソコンやスマートフォンの普及は、Apple 社の製品だけでなく、その他の数えきれない製品や技術が複雑に絡み合って形成されているわけですが、Apple 社は現代もICT 社会の一翼を担っています。りんごに感謝です。
なお実は、個人的にはApple 社の製品が好みに合わず長らく避けてきたのですが、今年はじめて iPad を使いました。りんごに感謝です。
青森学習センター機関誌「りんご」第111号、2022年7月発行より
公開日 2022-09-16 最終更新日 2022-11-01