~2025年度夏の親睦行事~
放送大学鳥取学習センター
広報・教務担当 上野武彦
8月3日(日)鳥取学習センターの学生さん、渡邉所長ほか職員とともに鳥取駅9時47分発の若桜鉄道の1両気動車に乗車し一路若桜駅へ。今年もこの列車はスズキの大型バイク「隼」がラッピングされた人気の車両。ラッピングはスズキがスポンサー。途中駅の隼駅では駅開業95周年を祝う団扇を持った地元の方々が車窓からお出迎え。休日で観光目的なのか終着駅の若桜駅に到着するまでの途中駅で乗下車される方がかなりあり単線各駅停車列車の中も賑やか。定刻の10時37分に若桜駅に到着。ここまでは昨年と同じです。今年はここで若桜町観光協会のまち歩きガイドの方と合流してお話を聞きながらまち歩きのスタート。地元のまちをガイドの方のお話を聞きながら歩くのは新鮮な体験。


まずは国の登録有形文化財がたくさんある若桜駅でのお話。駅舎、プラットホーム、物置、番所、車庫、小学生でも動かせる手動の転車台、蒸気機関車に必要な水を供給するための給水塔、そして流雪用の溝まで文化財です。文化財ではないですが、圧縮空気で動かす体験ができるピンク塗装の名残があるC12型蒸気機関車や除雪につかうDE型ディーゼル機関車も人気です。
次に「蔵通り」に移動。とても細い通りですが、一方通行でもなく普通に車が通るそうです。名前のとおり蔵の裏側が連なっています。中には漆喰が落ちて下地の土壁が露出している蔵も。また通りの反対側には寺院が連なっており、蓮教寺のお堂の軒下で若桜の家並について遠目で眺めながら説明を聞きました。明治の大火で全焼してから立て直された昔ながらの家が伝統的な町屋づくりで、通りに面した表側が2階建てでその次に平屋、通り土間と中庭、最も奥に蔵が配置されているとのこと。この時点では「町屋」と聞いて京都のそれを思い浮かべていましたが、後に予想をはるかに超えるものであることが分かりました。

ここから路地を抜けて若桜のまちの目抜き通りの「仮屋どおり」へ。建築当時のまま残っている家にはこの「仮屋」が家の前面に残っています。「仮屋」とは道路に面した前面に1.2m幅の軒下私道を作って雨や雪の時に誰でも自由に通れるようにしたもので現在のアーケードのようなものです。残念なことにこの「仮屋」が残る家は既に少なくなってしまっています。飲食店になっている古民家の仮屋の床下につくられた水槽には大きな鯉が飼われていました。昔は各家で食用に鯉を飼っていたそうです。今でも鯉料理を提供している飲食店が町内に1軒あります。30℃を超える暑さの中、家の前の側溝を勢いよく流れる水はひんやりと冷たかったです。
この後若桜民工芸館になっている町屋づくりの古民家を見学しました。この町屋の規模と贅沢な作りにびっくり。仮屋に面した窓は木連格子(きづれこうし)づくりで何故か内側に開く正方形の小さな扉が。これはお伊勢参りに向かう人たちに施しのお金を入れた柄杓を差し出すためのものとのこと。そう言えば思い出したのがここは「若桜街道」(昔は「若桜往来」とも「八東往来」とも言われたらしい。)。その起点は鳥取城のお堀にかかる大手橋で若桜までが若桜街道、その先戸倉峠を越える道は「播磨道」、氷ノ山越えは「但馬道」と呼ばれ、「但馬道」が伊勢参りに使われた道で若桜街道の途中に「伊勢道」と書かれた道標が多くあるそうです。若桜民工芸館でのお話が裏付けられています。

狭い通りを抜けて再び「蔵通り」の西方寺へ。若桜を代表する古刹で県の名勝に指定されている庭園がありますが寺院の建物の裏側に配置されており、正面入り口側からはその存在に気づくこともありません。蔵通りを通って駅に戻る途中赤ちゃんを抱いたお母さんに出会うとガイドの方、学生さんの皆が声掛け。若桜町での出生数は年間10人前後、人口が県内最少の自治体で人口減少と高齢化が進む中で今後の町を担っていく貴重な人材は町全体で大切にされています。

さて、町観光協会前に戻るとバーベキューでお世話になる「ヒュッテ白樺」のマイクロバスが既に待機中。まち歩きガイドさんとはお別れしバスで氷ノ山に登ります。若桜駅から11kmの距離ですが若桜氷ノ山スキー場にあるため急な上り坂が続きます。
到着するとすぐにバーベキューはスタート。備長炭の火は既に赤々とおこっておりまち歩きで乾いた喉を潤すため各自が飲物を注文して渡邉所長の乾杯の音頭で始まりました。厳選された素材のオンパレード。鹿ヒレ肉、鳥取和牛、地元特産の豚肉などなど。地元産米でにぎられた白おにぎりと一緒に美味しくいただきました。
参加した皆さんそれぞれが充実した一日が過ごせたようです。

おそらく来年もこの行事は開催します。学友会で企画しますが、現役の学生以外の方の参加もウエルカムですので是非とも参加をご検討ください。
鳥取学習センター機関誌「ぷりずむ」第198号(2025年10月発行)より掲載










