【学習センター機関誌から】言語習得理論と英語の学び方④

沖縄学習センター客員教員 大城 賢
(専門分野:英語教育学)

 

 

このシリーズも最終回を迎えました。言語習得研究の観点からは以下のようなことが言われています。

・私たちはコミュニケーションをしたいという気持ちと,コミュニケーションの経験があって初めて文法を習得することができる(Savignon,1983)。
・「模倣と練習」だけからは子供の言語発達は説明できない。子供は大人の言葉を単に真似ているのではない。むしろ大人の言葉を聞いて自分なりに創造的に言葉を使っている。学習者のエラーは進歩の証拠である(Lightbown & Spada,2006)。
・ドリル練習などをたっぷりと行って,そこで練習した文型が正確に使えるようになったとしても,その効果は,時間の経過とともに何事もなかったかのように失われてしまうことが多い(和泉,2009)。


さて,Savignonは「コミュニケーションの経験があってはじめて文法を習得することができる」と述べています。日本の英語教育ではコミュニケーションの経験を十分させてきたでしょうか。また,Lightbownらは,「学習者のエラーは進歩の証拠である」と述べています。学習者を勇気づける言葉です。間違いは否定されるべきものではなく,間違いを通して学んでいくことが大切ということです。また,和泉の指摘から,練習はある程度必要だとしても,練習だけでは不十分であり,実際に使ってみることが大切であることが分かります。このように考えると,一つの結論が見えてきます。外国語学習は「コミュニケーションを通して学ぶ」ということです。「使いながら学ぶ,学びながら使う」と言い換えることができます。

日本の外国語教育も2020年度から新しい学習指導要領が小学校で全面実施されました。2021年度には中学校で,また,2022年度からは高等学校で全面実施されます。新しい学習指導要領が求めているのは「言語活動を通して学ぶ」ということです。これは「使いながら学ぶ,学びながら使う」ということとほぼ同意です。


放送大学沖縄学習センターで学ぶAさんがいます。彼は英語の本を読む時には使えそうな表現を抜き書きしています。そして何度も見て使うようにしているそうです。ただ受身的に読むのではなく,使うことを前提にしたリーディングと考えられ,「使いながら学ぶ,学びながら使う」の好例だと思います。

また,同じく沖縄学習センターで学ぶBさんは自分が使えそうな表現があるとスマホのメモ帳に直ぐに記録するそうです。スマホは絶えず持ち歩くものなので時々メモ帳を見るようにしているそうです。そしてZoomを使っていつも外国の方と会話を楽しんでいるそうです。これも「使いながら学ぶ,学びながら使う」の好例です。

このシリーズも今回で終了となります。読者のみなさんの英語学習のヒントになれば嬉しいです。読んでいただきありがとうございました。


 

(沖縄学習センター機関誌「キャンパスニライ101号」より)

 

機関誌『キャンパスニライ』バックナンバーはこちらから→https://www.sc.ouj.ac.jp/center/okinawa/about/magazine.html

公開日 2022-01-18  最終更新日 2022-08-15

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