また、 違う山の頂きを 庄子 京子(しょうじ きょうこ)/ 北海道学習センター

私が定年退職を迎えるころ、子供たちはそれぞれのパートナーを得て生活していた。

私には学びへの憧れがあった。いつくかの情報から、私は放送大学に行こうと決めていた。
文系の多い「人間と文化」を選んだ。

学友会主催の「入学を祝う会」の中で、先輩のSさんが「勉強し、単位を修得していくと、見える景色が変わります」と言われた。私は入学前には卒業を考えていなかったが、「変わる景色」を見たいと思った。
私は初級英語サークルにも入り、学友会の行事にも参加した。会合では新入生の不安に、先輩たちが親切に教えてくれた。

翌年、町内会で行った、がん検診に参加した。ほどなく家に「要精密検査」の知らせが届いた。
不安な思いで、病院の検査を受けた。医師からは「肺癌の疑いがあります。3カ月後に来て下さい」と告げられた。
考えた私は、以前から関心を持っていた、世界一周クルーズのパンフレットを取り寄せた。その中に私の誕生日に出航するクルーズがあった。私はその船旅を申し込んだ。

3カ月後に病院の検査を受けると、医師から「6カ月後に来て下さい」と言われた。約3カ月のクルーズを終えても間に合う。

私は誕生日に横浜から出航した。船内では、乗船前に申請して認可された自主企画を、仲間と下船直前まで行った。幾つかの大きな企画にも挑戦した。
もちろん幾つもの国のツアーにも参加した。

船から降り家に帰った。病院の予約日に、検査を受けた。医師は、笑顔で「肺の陰は消えました。一年に一度、様子を見ましょう」と言われた。私は生かされた。
今までも、自然や人々の中で、数えきれない学びを得てきた。コロナ禍も少し落ち着いた2022年春、私はリアル学位記授与式に出席した。

私は、これからも多くのことから学び、私を卒業につなげてくれた学友会にも関わり、また、違う山の頂きを目指してみたい。


プロフィール  

1947年 美唄市茶志内日東生
1967年 北海道札幌月寒高等学校卒業
2012年4月 放送大学全科履修生入学
2012年6月 定年退職
2013年7月〜10月 ピースボート世界一周
2019年4月〜8月 ピースボート世界一周
2022年3月 「人間と文化コース」卒業
2022年4月 全科履修生「情報コース」再入学

※2023年4月24日 本誌掲載の記事です。


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公開日 2023-06-23  最終更新日 2023-06-23

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