大村 哲夫
放送大学大学院臨床心理プログラム3期修了

2025年6月8日、臨床心理(学)プログラム修了生による「第20回事例研究なずなの会」が上智大学四ツ谷キャンパスで開催されました。年に1度の開催ですから20周年ということになります。放送大学学長の岩永先生からの祝辞、大学からの取材もあり、花を添えていただきました。

研究会は瀧口俊子名誉教授をスーパーヴァイザーに招き、修了生の事例を参加者全員でていねいに味わい研鑽を積むことを目的にしており、2006年第3期生の修了をきっかけに始まりました。瀧口ゼミの修了生にとどまらず同期の修了生に呼びかけられ、その後、呼びかけは全ての修了生に拡大され現在に至っています。「なずなの会」という名称は、松尾芭蕉の「よく見ればなずな花咲く垣根かな」という句からとりました。困っているクライエントの側にあって、垣根の下に誰にも気づかれずに咲いているナズナの花(のような存在)にも注意を向けられるような臨床家でありたいという願いから付けられたものです。
瀧口 俊子 名誉教授

会は当初、東京以外でも開催しましたが、集まりやすさから主に東京で開催されるようになりました。関東圏以外からの参加者には、会場費負担を求めないなど遠距離参加者へのささやかな配慮もしています。
年に一度の開催で臨床心理士更新のためのポイント付与もない自主的な研究会ですが、コロナ禍の時期も休まず続けることができました。会の開催は臨床心理学プログラム修了生の公式メーリングリストで案内し、修了生であれば誰でも参加できます。コロナ禍で対面の学びが少なかった修了生の参加も増え(今回19期生は5名参加)、学びの場を提供できることで一定の役割を果たせたとよろこんでいます。全員が発言できるアットホームな学びの場は、他の研究会とは一線を画したものであると自負しています。
なずなの会からは書籍も生まれています。『心理臨床とセラピストの人生関わり合いのなかの事例研究』(瀧口俊子監修、大村哲夫・佐藤雅明編集、創元社、2015)です。放送大学では人生の必然に迫られ学び直しのために大学の門を叩く社会人学生が多く、それぞれの人生は多様です。曲折を経て臨床心理につながっていく執筆者の人生とその臨床事例を関連づけて構成した「稀有な本」(内容紹介より)となっています。すべての執筆者(12名)が放送大学臨床心理学プログラムの出身者ですので、皆さまにはぜひ手に取って読んでいただけたらと思います。ほかにも修了生や放送大の教員らで執筆した『共に生きるスピリチュアルケア 医療・看護から宗教まで』(瀧口俊子・大村哲夫・和田信編著、創元社、2021)や『心理臨床に活かすスピリチュアルケア』(瀧口俊子・大村哲夫・松田真理子編著、創元社、2024)、『スピリチュアルケア すべての臨床の核』(瀧口俊子・大村哲夫・松田真理子編著、創元社、2025(近刊))などがあります。

通信制の大学にも関わらず、同期の横のつながり、教員と学生・学生同士の期を超えた縦のつながりが密であることは、放送大学臨床心理学プログラムの大きな特徴です。社会人が多い「大人の大学」だからでしょうか。
また何より、これまで休むことなく教育への情熱をもって私たちを導いてくださっている瀧口先生への感謝の念は、言葉に尽くすことができません。ありがとうございました。また会の継続を陰ながら応援してくださっている先生方の存在もありがたく思います。今後ともなずなの会と放送大学が相互に関わり合いながら発展していくことを願っております。
公開日 2025-07-25 最終更新日 2025-07-25