【学生の声】「人生百年時代の学びについて」澤部 博



私は今年94歳を迎えようとする学生です。そして、「学ぼうという心がけ」は人を少なくとも十歳は若返らせるということを放送大学の学友たちとの交流でいつも感じています。

14歳で尋常高等小学校の最後の卒業生となり、中学校では働きながら、敗戦翌年の電力不足で1日おきにしか出席できない夜間工業学校で卒業資格を取得し、高校では会社倒産のため卒業ができず、19歳の時に大学入学資格検定試験を受けて合格しました。

その後、次の会社で技能修習生として採用され、社長の絶大なご支援を受けて現場事務員に昇格させてもらいました。28歳のとき、当時の課長の月給1万円の100倍にあたる研究費を払い込んでいただき、東京大学生産技術研究所で、私自身が無謀にも選び、世界中の学者が注目していた「金属高速切削時の刃先温度の極大点の存在について」の研究をさせていただきました。もちろん研究はまとまりませんでした。

それにもかかわらず、30歳のときにドイツで行われたヨーロッパ10カ国のみが参加していた国際技能オリンピックへ、視察団の一員として、莫大な費用を払っていただき視察に行き、翌年のスペイン大会にはヨーロッパ以外から初めて参加し、私が訓練した技能実習生が金メダルを獲得してくれました。

その翌年から毎年、31歳から34歳まで、アメリカとイギリスの会社へ二週間ずつ、58歳のときはスウェーデンへ技術習得に派遣され、会社の技術改善に活用させていただきました。

このような波乱万丈の絶えず向上を求め続ける人生で、いかに学ぶことが自分自身に生きがいを与えてくれていたかを顧みて、今後百歳以降も学習を進めて行こうと思っています。

私を支え続けてくれて、放送大学への入学も勧めてくれた妻に感謝しながら、彼女の介護の18年間後、84歳で再編入学して頑張っている次第です。


プロフィール
澤部 博(さわべ ひろし)  放送大学群馬学習センター所属

1931年 埼玉県生まれ
1950年 大学入学資格検定合格
1960年 東大生産研にて「金属切削理論」研究
1962~5年 アメリカ、イギリスで自動車用保安部品製作技術習得
1992年 放送大学 編入学
1996年 産業と技術コース 卒業
2019年 情報コース 卒業
現在 自然と環境コース 在学中

※2025年4月28日発行文部科学教育通信「私の放送大学」掲載の記事です。


放送大学群馬学習センターウェブサイトはこちら>>

公開日 2025-06-27  最終更新日 2025-06-27

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