放送大学に学んで 前島 寿子(まえしま としこ)/茨城学習センター 

既に30数年前のことになります。かつて常陸国の中心地として国府が置かれ、政務が執られたここ石岡市の地には、741年(天平13年)に聖武天皇が仏教による国家鎮護のため、「全国六十八カ国に国分僧・尼寺を建立させよ」との詔によって建立されたその中の1つ、国分僧・尼寺が存在します。千数百年以上もたつ今は廃寺となり現在の国分寺が法灯を守るべく新たに建てられ、往時の国分僧・尼寺は、礎石が存在するのみです。
主人の退職を機に全国の国分寺を巡る旅を思い立ち、二人三脚の巡礼が始まりました。

しかし順調に始まった巡礼も四七カ国を終わる途中から主人が病に倒れ、その1年後にはこの世を去りました。「後は君が最後まで頑張って廻ってほしい」と言う声に励まされ、地図を片手に巡礼を終えたのが丁度2年後でした。
「やっと終わった」と安堵の気持ちで胸を撫で下ろしたのもつかの間、旅で張り詰めた気持ちが解けると同時に、「主人は、この巡礼で何かを求めていたのではないか」という考えが、ふと脳裏を横切りました。

さりとて、古き国分僧・尼寺をまとめるとしても教えを請うべきところを探すすべもなく、ただがむしゃらに調べた末に目に入ってきたのが「放送大学」でした。

放送大学は、この歳になって煩わしいと思っている入学の資格試験もなく、授業の選択が自由で、学ぼうとする目的を自由に学び深めることができる、そしてご指導を受ける先生方の質も高く、その上1番有り難いことに授業料が安く、学びに手が届くことでした。

躊躇することなく即座に放送大学を選び、全国六八カ国を巡り歩いた結果をまとめることに決め、ご指導を受けながら卒業研究としてまとめ上げることができました。その後も国分寺に関した論文を幾つか仕上げ、ふと気がついてみたら、居心地の良さでしょうか、放送大学に既に20余年も籍を置いておりました。すべてのコースを卒業し「名誉学生」の学生証を頂いて卒路を半ばに近づいている今、できる限りのところまで放送大学で学んで行きたいと考えております。


プロフィール

1930年 茨城県石岡市に生まれる
1943年 県立石岡尋常小学校卒業
1949年 県立石岡女子高等学校卒業
1953年 日本女子大学卒業
1953年 茨城キリスト教短期大学就職
1955年 茨城キリスト教短期大学退職
  家業に就く
1999年 放送大学入学
2005年 生活と福祉卒業
2010年 人間の探求卒業
2016年 自然と環境卒業
2018年 情報卒業
2020年 社会と産業卒業
2022年 心理と教育卒業
2024年現在、選科履修生として在学

※2024年5月27日 本誌掲載の記事です。


茨城学習センターウェブサイトはこちら

公開日 2024-06-28  最終更新日 2024-07-01

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