稲垣 賢二
放送大学岡山学習センター客員教授


皆さんそれぞれに自分なりの健康法が有ると思います。私にとっての健康法の第一はテニスと言えると思います。小学校時代、ひ弱だった私は、時々風邪で休んだりしていて、修学旅行も行けませんでした。そんな私が元気になるきっかけは中学受験後に入学した私立の東海中学で硬式テニス部に入部したことだと思います。
当時一緒に練習していた高校テニス部はインターハイにもしばしばでるような強豪校で、入部したての中学1年生は先輩が練習中のボール拾い中心が半年くらい続きました。高校生と一緒の練習で非常に厳しかったです。日曜日も夏休みも朝から晩までの練習、トレーニングでは晴れの日は名古屋城までランニング、雨の日は校舎の階段上り下りを繰り返し、中学3年間で体が鍛えられフットワークが良くなりました。お陰でひ弱だった私は丈夫になり、中学と高校6年間無遅刻・無欠席・無早退で皆勤賞を頂きました。
東海高校進学と同時にワンダーフォーゲル同好会に入会し、テニスは疎遠になり、大学時代もテニスは年数回でしたが、大学院進学で京大宇治キャンパスの化学研究所に行ってからは現在のようにほぼ毎日するようになりました。宇治地区では教員や職員と一緒に朝夕や土日にもテニスをする事ができました。テニスを通して、自分の所属していない多くの他学部、他研究所の教員や職員、院生などの知り合いができたことも大きな収穫でした。
博士号取得後、ポスドクとして赴任したカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)でも、テニス仲間を探し、カリフォルニアの青空のもとで、毎週テニスを楽しみました。岡大に赴任した際にも、直ぐに仲間を探して、昼休みのテニスで体を鍛え、他部局の多くの友人ができました。大学教員は強いストレスがかかる職業でしたが、テニスを日々することで、ストレスを発散でき、岡山大学でも定年退職まで、皆勤で勤め上げることができました。
それでは次にテニスの健康効果について考えてみたいと思います。ネット上には「長生きするための最善の方法は、テニスをすることかもしれない」とあります。2018年9月に『Mayo Clinic Proceedings』誌に掲載されたP. Schnolhrらの論文、デンマークでの調査研究ですが、大規模なコホート研究「コペンハーゲン市心臓研究」の健康な参加者2万人の中で1990年代初めから研究に参加した人を特定し、約25年間の行動について調査を行い平均余命への影響を明らかにしたところ、テニスをしていた人の平均余命は、運動不足の生活をしていた場合より9.7年も長くなっていたそうです。その他のスポーツにより延長された平均余命の年数は、次のようになっています。
テニス/9.7,バドミントン/6.2,サッカー/4.7,サイクリング/3.7,スイミング/3.4
ジョギング/3.2,健康体操/3.1,ジムでのエクササイズ/1.5
研究チームは、テニスにこれほどの効果があるとは意外だったと述べています。
テニスの健康効果としては、身体的、脳的、精神的健康効果が期待できます。
テニスは全身を使う運動で、ラリーが続き、前後左右に走り回る「有酸素運動」でもあり、瞬発的にボールを打つ「無酸素運動」の要素も兼ね備えています。また、ラケットを振るので筋トレも行っていることになります。肥満や糖尿病のリスクが減り、心肺機能が強化され、骨代謝が向上し、骨密度が増加し、筋肉も引き締まります。脳的健康効果では頭の回転が鍛えられ、相手との対戦で状況判断や瞬時の判断力が鍛えられます。メンタル面でも、ストレス解消・軽減、ストレス耐性の向上、チームワークや仲間との信頼関係を築くことにより、心の支えにもなります。
以上のように、テニスは心技体全ての面で健康的なスポーツであるといえるようです。幸い我が岡山学習センターにはテニスクラブがあり、気軽に参加できます。また岡山県は晴れの国で、屋外でテニスを楽しめる条件も整っています。さあ、皆さんもテニスを始めてみませんか?
参考文献 Peter Schnohr, et. al., Mayor Clinic Proceedings 1-11(2018)
岡山学習センター機関誌「赤レンガ」第69号(2025年4月発行)より掲載










