【学習センター機関誌から】ダンスは世界と繋がるツール

 

放送大学 神奈川学習センター 客員教授

髙橋 和子

『追憶』2018 © 田中哲男
 

 

大学から始めた創作ダンスが、私の人生を変え、他者との強力なコミュニケーションツールになった。そのおかげで、大学時代にはエリザベス女王陛下の前で踊りフィリップ殿下と話す機会に恵まれた。横浜国立大学に40年間ダンス専門教員として学生指導ができたのも、放送大学や現在の勤務先である静岡産業大学にも関わることができ、今なお舞台で作品上演できることにも感謝している。

ダンスに関わった半世紀の中で大きな出来事と言えるのは、中央教育審議会やスポーツ審議会委員として体育・スポーツへの提言の機会を得たこと。学習指導要領解説作成協力者として中学校のダンス必修化(表現系・フォークダンス系・リズム系)に関わり、性差に関係なく踊る授業を保障できたことである。


視野を広げてみると、国内外を問わず踊りを持たない地域はないし、幼児から高齢者まで誰でもが手軽に踊ることができる。人々は言葉を使う以前から喜怒哀楽を踊りで表現し、その痕跡は洞窟や壁画などにも残されている。我が国での歌舞音曲や西欧でのソーシャルダンスは、教養や社交の大事なたしなみとして重視されてきた。

現在では歌って踊れる歌手がもてはやされ、自撮りしたダンスをYouTubeにアップする若者が大勢おり、一瞬のうちにそのパフォーマンスは世界に拡散している。オリンピックやパラリンピックの開閉会式においても、自国の文化の発信にダンスパフォーマンスは欠かせない。2024年パリ五輪の新種目にはブレイクダンスも採用される。このように言葉に頼らないノンバーバルコミュニケーションとしてのダンスは世界と繋がるツールとして、また心身を解放し、他者と共感できるすぐれたアイテムとして位置づけられている。


大学表紙モデルに抜擢されたダンス部長

放送大学の対面授業では「しなやかに生きる健康ワーク」と称して、心身をほぐしたあと、20~90代の老若男女がダンス即興表現に興じる様は圧巻である。コロナ禍で疲弊している看護関係者へのダンスワークでも、全身で踊るうちに笑顔がこぼれ、帰路の足取りも軽やかである。静岡産業大学で初めてダンスを行った女子学生は大学のポスターモデルに登用された。

このようなダンスの種まきを命の限り行うのが、私の夢である。


(神奈川学習センター機関誌「OUJ神奈川学習センターなつだより」

87号 2021年8月掲載記事より)


機関誌『 神奈川学習センターだより 』バックナンバーはこちらから→https://www.sc.ouj.ac.jp/center/kanagawa/about/magazine.html

 

公開日 2021-10-15  最終更新日 2021-10-15

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