BS放送マルチチャンネル化へ進化する放送大学

No.126号(2018年7月)掲載記事。
2018年10月、いよいよBS常時マルチチャンネル放送がスタートします。マルチチャンネル化を契機に、大学はどう変わっていくのか。來生新(きすぎしん)学長にじっくりとお聞きしました。

來生 新 学長
來生 新 学長

より良く生きる力21世紀の新しい教養教育

人生100年時代といわれる今。私たちは、絶えず変化する環境に柔軟に対応しながら、より良い自分に変わり続けていくことを楽しむ。

そういう生き方が、求められているのではないでしょうか。

そのためには、何歳になっても、自分自身を固定化しないで、自分にはまだ変わりうる余地があるんだと、自らの未知の部分にチャレンジしていく。

そこに、生涯にわたって学び続けよう──という、柔らかい生き方が生まれてきます。それは、21世紀の世界において、最先端の美しい生き方だと私は思うのです。

放送大学は、まさにそのような生き方のお手伝いをしようと、教養教育を行っている大学です。では、放送大学が提唱する「教養教育」とは何でしょうか。

30数年前の設立時、私たちは、どちらかというと古典的な教養教育に力点を置いてスタートしました。

あらゆる能力を磨く基礎となる知識、人間としての奥深さを形

成していくための教養を学ぶことですね。

しかし、設立から30数年が経ち、私たちを取り巻く日本の社会情勢は大きく変わりました。

経済の低成長と表裏一体となって長寿・高齢化は進展。放送大学の学生も、30代、40代、50代を中心に多世代にわたり、学ぶ目的もキャリアもますます多種多様になっています。

しかも今や職業人として求められるスキルの変化は急激で、また一方で、リタイアした人だけではなく、職につかなくても、家庭や地域でさまざまな活動に参画されている方が増えている。

このように変化の早い社会では、つねに「学び直し」が必要となり、社会人の「リカレント教育(学び直し)」へのニーズが高まっているのも、時代の必然と言えましょう。

そんな多様で変化の激しい時代、人生100年時代に、放送大学が提供すべき「教養教育」とは何なのか──。まさに今、時代のニーズに合わせて中身を変えていかなくてはならない、大きな転換期を迎えています。

そして私たちは、古典的教養だけではなく。職業的能力、ないしは実践的能力を高める教養も含めた、新しい意味での教養教育を提供していく。それが、放送大学としての使命なのではないかと考えました。古典的教養と実践的教養とを融合させたもの、それが放送大学ならではの「21世紀の新しい教養」なのです。

それはまさしく、人生のそれぞれの段階で、人それぞれが直面する問題を、より良く解決する能力を高めるもの。より良く生きる力を鍛えるものなのです。

BS常時マルチチャンネル放送いよいよ10月スタート

BS常時マルチチャンネル放送

この「21世紀の新しい教養」を、新たなカタチで提供していくのが、この秋スタートする「BS常時マルチチャンネル放送」です。

従来の単位取得を前提とした大学の授業番組を提供するチャンネル「BS232ch」に加え、大学教育の形式にとらわれない自由なカタチで、多様な学び直しの機会を提供する新チャンネル「BS231ch」が登場します。

では、今なぜマルチチャンネル化なのでしょうか。

きっかけは、やはり変化が激しい現代の、社会的ニーズに応えるためでした。

そもそも放送大学は、今まで大学教育というカタチを通じて生涯教育を提供してきました。形式面でも内容面でも、すべて厳格な大学設置基準に定められた、その枠組の中で放送教育を行ってきたのです。

例えば、授業形式は、45分×15回で1回完結。15回すべてを受講しないと、単位認定試験が受けられず、単位取得も認められないという仕組みです。

しかし、先ほども述べたように、今多くのニーズがある、職業能力や、資格試験、認定資格更新などに対する勉強は、45分×15回では多すぎる。45分×3回くらいで充分だというケースが多くあります。ところが、厳格な大学設置基準の枠内では、3回だけの授業のニーズには対応できません。

つまり、これらの社会的ニーズに応えるためには、大学教育の枠組みを離れた「自由な教育のカタチ」が必要になります。これが、新しいチャンネルを作る、決定的な理由となりました。

幸い、学校教育法第107条には「大学においては、公開講座の施設を設けることができる」とあります。

ですから、エクステンションセンター(各種講座などを提供する大学の付属機関)のような存在として、もう1チャンネルを設ければ、生涯教育の多様な需要に応えることができるのです。

こうして、実現したBSマルチチャンネル放送。マルチチャンネル化したことで、「大学の授業番組」と「自由な学び直し×公開講座」、この「2つの軸」をもつ放送大学の特色を、より明確に打ち出すことができたのではないでしょうか。この新たな試みによって、今まで以上に日本社会の生涯教育に貢献できるのではと期待しています。

來生 新

放送大学というブランドイメージを発信していく

「BS231ch」は、今まさに、新しい番組を制作しているところです。新しい討論番組や、多彩な講師陣によるスペシャル講演など、1回の視聴でも楽しめる番組も続々と登場します。また、大学教育ほど肩肘を張らないで、気楽に見ていただけるコンテンツも多彩に提供していきますので、ぜひご期待ください。

放送大学というブランドイメージの発信

BS231chでは『クロス討論』や『放送大学スペシャル 講演』などの番組を企画中。

BS231chでは『クロス討論』や『放送大学スペシャル 講演』などの番組を企画中。

この秋、いよいよ始まる「放送大学のマルチチャンネル時代」。私たち教職員も全員で足並みをそろえて、この新時代の魅力を社会にアピールしていければと思います。

そして、生涯教育を通じて、多くの人々のより良い生き方に貢献する大学。そんな大学のブランドイメージが発信され、広く社会に浸透していければ、本当にありがたいことです。

放送大学の番組は、一般の方も視聴できますから。より良い人生を過ごしたいと思っていらっしゃる方は、ぜひ積極的に見ていただきたいです。

己の知らないことを知ることによって、自分の能力を高めていく。その未知の領域へのチャレンジが、きっと人生の問題解決能力を高めることになるはずです。

人生100年時代、皆さまのそんなより良い人生にお役に立てるよう、放送大学はこれからも日々努力してまいります。

公開日 2021-02-01  最終更新日 2021-02-26

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