放送大学の様々な情報を映像でお届けする「放送大学キャンパスガイド」の新コーナー「コラムOUJ」では、放送大学の専任教員が毎回1つのテーマで語っています。
コラムOUJ 2022年7月号②では、人間と文化コースの島内裕子教授が登場。
専門は国文学。今回は、「徒然草から広がる書物の世界」というテーマの下、徒然草の研究者である島内先生の著書と、研究で集めためずらしい本を紹介していただきます。
はじめに、徒然草との出会いから、先生の著書『美しい時間 ― ショパン・ローランサン・吉田健一 ―』(書肆季節社、1990年)について伺います。古今東西の文学や音楽、そして芸術を響き合わせて論じたこの本は、島内先生の方法論である「響映(きょうえい)読み」の出発点であったと話します。響映読みとは、時代と空間を超えて響き合い映じ合うものの中に、ゆるやかで大きなつながりを見出す研究姿勢です。
次に、徒然草の研究について伺います。美学書や哲学書、そして人生教訓書としても読まれてきた徒然草は、それぞれの時代に影響を与え、新しい文化のヒントとなり、その時代に必要なメッセージを発信してきたと言います。
また、徒然草を序段から243段まで連続して読めば、著者である吉田兼好の内面的な成長が読み取れると島内先生は話します。これは、序段から順を追って読み進めていく「連続読み」という方法論であると言います。
最後に、島内先生は「古今和歌集から夏目漱石まで、日本文学はお互いに様々に響き合い映じ合っています。今回お話した響映読みと連続読みを、皆さんが本を読むときのヒントにしていただければと思います。そして、読書から広がる新たな世界を実感していただきたいと思います」と語りました。
公開日 2022-09-16 最終更新日 2024-10-31