函嶺に住める幽独秋の月  佐藤 信輝(さとう のぶてる)/ 静岡学習センター

北伊豆は源頼朝や僧、文覚の配流地で源氏旗揚げの地であるし、平家物語や吾妻鏡の舞台でもある。この時代から武家と地域の躍進、脈動が始まる。また時の政権の転覆をはかる陰謀もこの地で行われていた。新たな社会制度の確立がどのようにして行われたかなどを学びたいと放送大学へ車で向かった。函南町の庁舎前の路上で突然ぐらぐらっと来た。東日本大震災に遭遇した一〇年前の三・一一の日である。

学習センターに到着すると、この日はあいにく併設の県立高校の受験期間と重なり、訪問者立ち入り禁止の状態であったが電話連絡が叶い、パンフレット一枚ぐらいと無理やりの申し入れを行った。やがて出てきた女性職員に強い口調で思いを伝えたところ、丁寧な応待で四月入学が可能であり、近い将来インターネット学習が期待されるなど図書室での学習や貸し出し、充実した教科書と教授陣などの説明を受けた。帰り際に失礼とお礼を言うと「上司には私が叱られれば済むことですから」と悪びれず堂々とした態度はまさに伊豆の女。韮山、北条の政子尼将軍のごとくであった。

この心意気に応えねばと所属する伊豆ハイクの富士山登頂、田子の浦港ゼロメートル作戦に参加し、東北支援祈願とともに歴史から文学、法学を学ぶことになった。まさに七十にして立つの心境であった。調停委員、司法委員、参与員として熱海市の簡裁、家裁の評議では印刷教材を片手に発言することができた。また、センターの女性職員の巧みな誘導により科目群履修認証制度「放送大学エキスパート」に挑戦し、学芸員資格の習得ができ、現在地域活動の一つとして「かんなみ仏の里美術館」の町認定のボランティアガイドを務めている。

センターの立地環境は三島駅から歩いて五分にあり気軽に立ち寄れるし、東京文京、東京渋谷、千葉、愛知、神奈川の各学習センターの授業にも参加できたことはありがたい。印象的な授業は静大農場における静岡の特産ミカン、茶、野菜の通年管理セミナーと富士山学として雪解けの水質や植生の観察を行う一泊二日の富士山限界林の山行があった。景色も素晴らしく“仁者は山を愛し、知者は水を楽しむ“の心境である。


プロフィール  

佐藤 信輝(さとう のぶてる)

  • 1941年1月 旧満州国新京市(現 長春市)生まれ

  • 2011年4月 放送大学入学
  • 2016年3月 教養学部「人間と文化」卒業

  • 2018年3月 教養学部「社会と産業」卒業
  • 2018年4月 教養学部「自然と環境」入学・履修中

※2021年8月9日 本誌掲載の記事です。


静岡学習センター  https://www.sc.ouj.ac.jp/center/shizuoka/

公開日 2021-10-15  最終更新日 2021-11-04

関連記事
インターネットで
資料請求も出願もできます!